グーグルを傘下に持つアルファベットが米東部時間2月1日午後4時過ぎ(日本時間2日午前6時過ぎ)に2017年10~12月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると1月29日時点の市場の予想EPS(1株利益)は10.00ドル。売上高は前年同期比22%増の317億ドルを上回ると予想されている。
【アルファベットの17年10~12月期決算に対する市場予想】
・売上高 :317億7900万ドル(22%増)
・広告売上高 :218億8500万ドル(22%増)
・EPS(特別項目除く) :11.97ドル
・EPS(GAAPベース) :10.00ドル
(QUICK FactSet Workstationより)
米株式相場の上昇を追い風にアルファベットの株価も上値を切り上げている。分割考慮ベースで過去最高値を更新中だ。予想PER(株価収益率)も28倍を上回り、2006年6月以来およそ9年半ぶりの高水準。表現を変えればリーマンショック前の水準を回復したことになる。
ここまで来ると割高感も意識されるがアナリストの評価は違う。今年に入って顕著なのが目標株価の引き上げ。QUICK FactSet Workstationで確認できただけでも16社もあった。平均すると1216.50ドルで26日終値に比べ2.4%ほど高い。
AI(人工知能)や自動運転など様々な事業へ進出している印象が強いアルファベットも収益の主軸はインターネットの広告事業であることに変わりはない。事業が成長したにもかかわらず、四半期ベースで2割の増収ペースを維持している。今回の決算でも変わりがないようだ。むしろゴールドマン・サックスなどはコンセンサスを上回る増収を想定している。今年も成長ペースが維持されるとの見方が大勢を占めている。
17年7~9月期まで警戒されていたのがコスト。他社サイトでグーグルを検索サイトとして採用してもらうための各種手数料(TAC)は前年同期比で32%増だった。1年前の伸び率(17%)と比べても加速度的に増えてきた様子が分かる。
しかし、同年10~12月期を境に増加率が一転して鈍化すると想定するアナリストが多い。QUICK FactSet Workstationによると29%へ低下した後も基調が継続するようだ。「株価の潜在的な好材料は増収ペースの加速とTACの伸び率鈍化」(米系証券アナリスト)との指摘もある。今回の決算でも期待通りにコストコントロールが達成できたのか。アナリストの注目を集めそうだ。
▼コストである「TAC」の伸び率は鈍化へ?
Mar’16 Jun’16 Sep’16 Dec’16 Mar’17 Jun’17 Sep’17 Dec’17E Mar’18E Jun’18E
TAC 13% 18% 17% 20% 22% 28% 32% 29% 25% 22%
※前年同期比、Eは予想
もう1つ関心を集めるテーマが米トランプ政権による大規模な法人税改革。アルファベットは特に減税の恩恵は乏しいとされる反面、海外留保利益の本国還流の際の軽減税率が同社にとっては重要なようだ。605億ドル(約6兆5000億円)ともいわれる現金を米国に戻しやすくなることで自社株買いや増配といった株主還元、積極的な設備投資、M&Aの活発化などが意識されつつある。
インターネットの巨人の次の一手は――。好業績が確認できれば、色々と興味を抱ける投資シナリオも描けそうだ。
(QUICK エクイティコメント)
※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。また、米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に業績の着地点や注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を決算発表前に配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。