政府は2月16日、日銀の黒田東彦総裁を再任し、副総裁に日銀の雨宮正佳理事、積極的な金融緩和を訴える「リフレ派」の若田部昌澄・早大教授を充てる人事案を国会に提示した。2月の「QUICK月次調査<債券>」※では、日銀の新執行部が金融政策を今後1年、どのように運営すると予想するか市場関係者に聞いた。調査期間は2月20~22日、回答者数は証券会社および機関投資家の債券担当者134人。
※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。
国債買い入れは「減額」が「維持」上回る
現行の金融政策のうち、2%の物価安定目標とマイナス金利については市場関係者の9割超が現状維持を見込んだ。「新執行部になっても実質はほとんど何も変わらないであろう。淡々と2%の物価上昇を目指して金融緩和を続けることが予想される」と冷めた見方が多い。
ETF・J-REITの買い入れは8割以上、長期金利ターゲットについても7割以上が「維持」と回答した。
「安倍晋三政権が続く限り、景気配慮型の金融政策運営は避けられず、長短金利操作目標ならびにETF購入額の変更は難しい」との指摘があった。「年後半に国内の物価上昇が進み円安基調になれば、日銀の長短金利操作の微修正に加えてETFなどリスク資産の買い入れ減額が可能になる」との声も一部であるが、株式市場を動揺させかねないETFの買い入れ減額は難しいとの見方が優勢だ。
一方で国債の買い入れ額については「減額」が50%と「維持」(46%)を超えた。「国債買い入れ額はステルス・テーパリングのもとで既に減らしており、この傾向が続く」との指摘があった。一方で昨夏に日銀審議委員となった片岡剛士氏に続いて「リフレ派」の若田部氏が副総裁に就くなか「インフレが鈍化すれば、円高阻止のためにマイナス金利を深掘りし、財政拡張を支援する国債購入を増額させるだろう」との予想もあった。
※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。