日銀は9日の金融政策決定会合で、現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の維持を決めた。再任される見通しの黒田東彦総裁は記者会見で5年間の金融政策運営を振り返り、日本経済は改善し、デフレではなくなったと成果を強調した。ただ市場では、マイナス金利に伴う金融機関の収益力低下など副作用の指摘も多い。3月の「QUICK月次調査<外為>」※では、黒田総裁の1期目の評価について聞いた。調査期間は3月5~8日。回答者数は76人。
※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。
80点以上は22%
9日の記者会見でも「2%の物価安定目標は達成されていない」として、現行の金融緩和を今後も粘り強く続ける方針を表明した黒田総裁。9日は現体制最後の金融政策決定会合となったが、外為市場関係者の1期目の評価で最も多かったのは「60点以上80点未満」で約半数の49%を占めた。
「60点以上」で見ると、全体の71%。少なくとも外為市場関係者は黒田総裁が主導した異次元の金融緩和に及第点をつけたかたちだ。
高得点と判断できる80点以上は「100点」を合わせて22%にとどまったが「(金融政策で)ぎりぎりまで踏み込んだのは評価できる」と好意的な意見は少なくなかった。
結果として円安が進んで企業業績が上向き、完全失業率は大幅に低下。「経済パフォーマンスが安定し、雇用環境が良好なことは大いに評価できる」との声が上がった。
一方で大規模な国債買い入れにもかかわらず、2%の物価安定目標に近づけない現状に冷めた評価もある。今回は「0点」との評価はなかったものの「政府の協力もなく物価を上げろと言われた日銀に対しては、多少の同情の余地があるため『20点未満』としたが0点でもよい」との回答もあった。
※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。