QUICKが15日まとめた3月の「QUICK短期経済観測調査(短観)」によると、2018年度の円の想定為替レートについて6割以上の企業が「1ドル=110円前後(107.50~112.40円)」と答えた。足元の実勢レートは106円前後。多くの企業は18年度計画の前提となる想定レートを実勢よりも円安に設定している。円相場が110円前後に戻らなければ、18年度の業績は輸出企業を中心に鈍化しかねない。
3月のQUICK短観は382社の上場企業が回答。うち295社が18年度の対ドルの円の想定レートに関する特別調査に答えた。調査期間中(1~12日)の円のレンジは105円台前半~107円台前半だったが、「110円前後(107.50~112.40円)」との回答が182社と、全体の62%を占めた。「115円前後(112.50~117.40円)」と一段の円安を前提にしている企業は11%(33社)だった。なかでも輸出企業が多い製造業・加工業種は14%が115円前後と回答した。
足元の円相場については「想定よりも円高」と判断している企業が54%(170社)と半数を超えた。「想定よりも円安」は4%(12社)にとどまり、円安判断の割合から円高判断の割合を差し引いた円相場判断DIは前月調査のマイナス25からマイナス50に大幅低下。16年10月以来のマイナス水準となった。
2017年12月の企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、2017年度の想定レートは110.08円(大企業・金融を除く全産業)。QUICK短観の回答企業の多くは18年度の想定レートを17年度と同水準で想定しているが、米国の保護主義的な通商政策や国内政局の行方など先行き不透明感もあり、円の実勢相場が上昇するリスクは小さくない。
18年度の想定レートを「105円前後(102.50~107.40円)」とする企業は78社(26%)、「100円前後(97.50~102.40円)」が1社あったが、円相場の動き次第では想定レートを円高方向に修正する動きが広がりそうだ。
日銀は4月2日に短観を発表する。QUICK短観は日銀短観に先行して企業の景況感を映す指標となっている。