外は関税、内は増税。2つの挟み撃ちで2019年の株式相場はさえない展開ーー。QUICKが6日まとめた12月の短期経済観測調査(QUICK短観)で、日経平均株価の19年の最高値予想の平均は2万3857円と、18年の高値(2万4270円)に届かないという結果が出た。19年の最安値予想は2万0174円で、こちらも18年の最安値(2万0617円)を下回る。米中貿易摩擦の激化に加え、19年秋の消費増税が影響するとみており、企業の相場観は総じて弱めだ。
日経平均の見通しは上場している製造業82社、非製造業133社が回答した。製造業の最安値の平均予想は2万0378円で、非製造業は2万0047円。非製造業の方が下値が広がるとみている。最高値については製造業が2万3782円、非製造業は2万3903円。非製造業は製造業よりも上値余地があると想定している。
株式相場のマイナス要因を複数回答で聞いたところ、製造業の70%が「米中貿易摩擦の激化」を挙げた。当事者の米国と中国の景気が減速し、企業業績の悪化につながりかねないと警戒されている。一方、非製造業は62%が「消費増税」と回答。「米中貿易摩擦の激化」の59%を上回り、最も多かった。内需企業が多い非製造業の気がかりは、米中問題よりも増税後の消費の落ち込みというわけだ。
政府は消費増税に伴う景気悪化を避けるため、住宅ローン減税の延長やキャッシュレス決済のポイント還元などを検討している。これらの対策については、回答企業の25%が株価のプラス要因に挙げるなど期待は大きい。
相場の最大の支えは62%が指摘した「堅調な企業業績」だが、それさえも「株安と円高が影響を与え、業績を鈍化させる悪循環」(回答企業)というリスクをはらむ。内患外憂を抱えた来年の株式市場は、今年以上に波乱含みの展開になる可能性もある。
(QUICKナレッジ開発本部)