債券市場で、2019年の米欧の金融政策はハト派色が強まるとの見方が目立ってきた。QUICKが4日にまとめた2月の月次調査では、米連邦準理事会(FRB)は保有資産の縮小をいったん停止し、政策金利の引き上げもゼロないし1回と予想する声が多かった。
「FRBの保有資産の縮小ペースをどう予想するか」との問いに対し、縮小を停止するとの回答が56%を占めた。19年中のFRBの政策金利(FF金利)の引き上げ回数は0~1回の合計で9割を超す。欧州中央銀行(ECB)の19年中の金融政策に関する質問でも緩和的な政策が多く選ばれた。
実際、FRBのパウエル議長は、米国債などの保有資産縮小を年内に終了することを検討していると議会で証言。ECBの長期資金供給オペ(TLTRO)の再実施の観測も浮上している。当事者からハト派的なメッセージが相次いで出されていることもあって、約2週間前に外為市場関係者を対象に実施した月次調査と比べても、緩和的な政策の織り込み度合いがより強まっている。
今後の長期金利上昇の余地は限定されると見る向きが多い。足元では世界的な投資家心理の改善をうけ金利は小幅に上昇しているものの、「政策的な金利上昇要因がない。海外金利の動向が日本の金利の上値も抑える」(BNPパリバ証券の徳勝礼子氏)という。
今回は同時に、英国の欧州連合(EU)離脱による英経済への影響についても聞いた。「小幅に減速する」が60%と最も多く、ついで「大幅に減速する」が29%だった。「(英経済の)ハードデータとして現れるのは20年以降」(証券会社)などの声があった。
2月の債券月次調査は2月26~28日に実施し、証券会社および機関投資家の債券担当者136人が回答した。(ナレッジ開発本部 伊藤央峻)