QUICK資産運用研究所=西本ゆき
ネット証券大手の楽天証券が手掛ける独立系金融アドバイザー(IFA)事業が成長している。IFA経由の預かり資産残高は9月末時点で4366億円と半年間で545億円(12.5%)増え、顧客口座数は5053口座増の3万6945口座に達した。提携するIFA法人は6社増の98社、所属IFAは169人増の1261人になった。同事業を取りまとめる大嶋広康常務執行役員は「IFA事業は日本の金融構造を大きく変えていく。楽天証券でこそのビジネスだ」と力を込める。
■IFAにフィーベースへの転換求める
「手数料ゼロの流れは必ず来る」。1日に都内で開いた「楽天証券IFAカンファレンス」の冒頭で挨拶した楠雄治社長は、参加した約200人のIFAを前に警鐘を鳴らし、コミッション(売買仲介手数料)からフィー(預かり資産残高に応じて一定の報酬を受け取る残高手数料)ベースへの収益モデルの転換を求めた。
IFAの普及で先行する米国では、フィーとコミッションの収益比率が8:2という。楽天証券は今年5月に預かり資産残高に応じてIFAの報酬が変わる「管理口座コース」を新設するなど、インフラの整備を進める。
8月に資産形成・運用支援室室長に就任した水野清司氏は「個々人のライフスタイルや金融商品サービスが多様化するなかで、顧客の最善の利益を追求する立場から総合的なアドバイスを提供できるアドバイザーが必要になる」と話す。水野氏は金融庁で投資信託の販売会社における共通KPI(成果目標)の策定など顧客本位の業務運営の「見える化」を主導した実績を持つ。
■売り上げ、残高増加ともアイ・パートナーズが1位
楽天証券が年2回開くIFAカンファレンスは今回が21回目。半期の実績に基づき、IFA法人と個人を表彰するのが恒例だ。
売り上げ(受け取り報酬)総額と預かり資産残高増加額の上位を対象とした「ベスト・パフォーマンス賞」と「ベスト・アセットグロース賞」の法人部門は、アイ・パートナーズフィナンシャル(横浜市)がともに第1位を獲得した。今回(2019年上期)の順位は以下の通り。
<ベスト・パフォーマンス賞>
第1位 アイ・パートナーズフィナンシャル
第2位 ファイナンシャルスタンダード
第3位 CSアセット
<ベスト・アセットグロース賞>
第1位 アイ・パートナーズフィナンシャル
第2位 ファイナンシャルスタンダード
第3位 SHIPS