QUICKコメントチーム=丹下智博
14日の欧州国債市場では、ドイツ10年物国債の利回りが3日連続で低下し、マイナス0.351%となった。この日に発表されたドイツの2019年7~9月期の国内総生産(GDP)は実質で前期比0.1%増。QUICK FactSet Workstationによる市場予想のマイナス0.1%を上回り、4~6月期に続く2期連続のマイナス成長(テクニカル・リセッション入り)は辛うじて回避したが、「欧州経済のエンジン」の足取りはなお、おぼつかない。
(チャートはQUICK FactSet Workstationより)
アルトマイヤー経済相は「景気後退には陥ってはいないものの、経済成長率はまだ低すぎる」と指摘する一方、米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱に関連した「暗雲はやや解消した」との見方を示した。
さらにショルツ財務相は、財政出動による景気対策について議論する「特段の理由は全くない」と語った。債券市場は2期連続のマイナス成長で財政出動の機運が高まると身構えていただけに、この点からも長期金利が反転上昇するきっかけが一段と薄れた格好だ。
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