QUICKコメントチーム=松下隆介
26日の米国株式市場ではダウ平均など主要指数が連日で高値を更新、27日の日本株もその流れを引き継いだ。米中貿易交渉の進展や米個人消費への期待感は日米の株式相場にとってプラス材料だ。しかも、日本市場では独自の買い材料がある。
例年、11月の最終日を挟む週は日経平均株価が上昇しやすい。3月期決算企業の中間配当金の支払いを受けた投資家が、再投資するためだという。大和証券によると、その額は12月初旬までの合計で4兆円強。パッシブ運用ファンドは7000億円程度の現物株を買い越すといい、株式相場の押し上げ要因となる。
目先の需給だけでなく、やや長い目で見ても固有の株高要因がある。米国同様、国内消費の改善期待だ。日本では、景気の下振れを回避するための大規模な財政政策に注目が集まっている。早くも補正予算の規模10兆円との声も聞かれる。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は記者会見で、大型補正予算に踏み切る政府方針を歓迎。0.5%ほどと見込んでいる20年の経済成長率の上振れの可能性に言及したという。
少々、気が早いが、証券会社のストラテジストの2020年末目標株価は東証株価指数(TOPIX)でおおむね1800~1900ほどだ。中には、あくまで海外景気の持ち直しを理由にした輸出株主導を前提に、大規模な財政政策による内需の持ち直しに触れていないリポートもある。財政政策が国内景気の押し上げ要因となれば、彼らの想定よりも指数が上昇する可能性がある。
2020年末のTOPIX見通し(※は12カ月先、カッコ内は日経平均)
ソシエテ・ジェネラル -- (2万5500円)
クレディスイス -- (2万5500円)
三菱UFJモルガン・スタンレー 1900(2万5000円)
ゴールドマン・サックス 1800(2万5000円)
モルガン・スタンレー 1860
UBS 1860※
野村 1850
バンカメ・メリル 1750(2万4000円)
※QUICK Market Eyes®はトレーダーやディーラー、運用担当者の皆さまに向けたQUICK独自のマーケット・コメントサービスです。日米の個別株から債券を含めた先物市場まで幅広くカバー。証券会社や機関投資家など運用・調査の現場への取材を通じて得た専門性の高い金融情報を提供します。