QUICK編集チーム
2022年度から高校の家庭科で投資信託のメリットなどを学ぶ授業が行われるーー。このニュース、ご存知でしたか? QUICKは端末ユーザーを対象にアンケートを実施し、マーケットの専門家が「教育と資産形成」についてどう考えているのかを聞いた。調査は25~28日で、493人が回答した。
高校家庭科の新しい学習指導要領には、「株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れるようにする」ことが盛り込まれた。現在の要領の「株式などの基本的な金融商品などにも触れる」から踏み込んだ表現で投資家目線の育成を求めたものだ。
この話はメディアへの露出が少なかったこともあり、そもそもマーケットであまり意識されていなかったようだ。調査で「家庭科で投信の授業を)知らなかった」と回答したのは全体の9割近く(435人)にのぼった。
評価については「大賛成」(54%)と「どちらかというと賛成」(35%)を合わせた肯定派が9割と圧倒的。理由は、「早い時期から学校で投資を学ぶ欧米諸国にあわせるべき」(76%、複数回答)や「投資を通して社会・経済・金融の仕組みや企業を深く知ることができる」(72%、同)を挙げる人が多かった。
回答者からは「投資への抵抗感をやわらげ、有用性を認識するきっかけになれば」など前向きにとらえる声があった一方で、「洗練した内容にしないと、過度な不安や不信や楽観につながりかねない。慎重に吟味されるべき」など授業内容に注文をつけるコメントも多く寄せられている。
反対意見で目立ったのは「家庭科ではなく、独立した授業で履修すべきテーマ」「数学や政治経済の方がふさわしい」など。やるなら徹底的に学ぶべきという主張だろう。「金融商品の正確な知識や経験を持ち、責任をもって教えられる教職員がいない」(58%)のを心配する意見も多い。
確かに投資の経験や知識がある家庭科の先生は限られるだろうし、先生たちにゼロから金融商品の教育をするのも現実的でない。授業で誰が責任をもって教えるかは、最大の課題だ。金融庁は職員が学校に出向く「出前授業」を続けるとしているが、これに誰が加わると良いのかも聞いてみた。
用意した選択肢の中では、証券・運用会社(66.5%)、FP(フィナシャルプランナー)やIFA(独立系金融アドバイザー(23.5%)、日銀(4.1%)、大学やシンクタンク、メガバンクや地方銀行(信用金庫)、郵便局の順になり、他に証券取引所の職員や日本証券業協会の職員という意見も出た。「幅広い視点で学んでほしいので様々な立場の人を呼ぶべきだ」との声は多い。
この取り組みで日本人のおカネの意識は変わるのだろうか。日本の金融・サービスに与える影響を尋ねた質問では「貯蓄から資産形成への動きが拡大・定着する」(60%)や「個人投資家の増加に結びつく」(23%)との回答が多かった。これからの難しい時代を生きていくためにも、若者たちには金融リテラシーを身につけ、日本経済をしっかり担っていってほしい。そうした期待がにじむアンケート結果だったといえる。