QUICKコメントチーム=松下隆介
きょうから師走相場。2日午前の株式市場は高く始まり、投資家の買い意欲が失せていないことを示した。年末高を期待した押し目買いがじわじわ進み、株価を押し上げそうだ。実際、12月相場は上昇しやすい。1976年以降の日経平均株価の月中平均値を前月と比べると、43年のうち28年で上昇。平均で1.6%値上がりした。海外勢は、さかのぼれる03年以降では16年のうち11年で12月は買い越している。
左:日経平均の前月比騰落率(月中平均を比較、%)、右:日経平均の12月の前月比騰落率(月中平均を比較、%)
足元で上場投資信託(ETF)を通じた資金流入が続いていることも支えだ。米国市場に上場する日本株ETFは11月25~29日が約4500万ドルの流入超と、9週連続の流入超だった。日本株が全体の3割を占める「米国株をのぞく先進国株」タイプのETFにも、ここ1週間で差し引き3億7000万ドルほどの資金が流入している。
※日本株ETFの資金流出入(赤・左軸、百万ドル)と日経平均(青・右軸)の推移、QUICK FactSet Workstationで作成
「強いですね。違和感ありありです」。前週末、市場ではこんな声があった。日経平均は11月までの3カ月間で1割強上昇し、短期的な過熱感を警戒する声は多い。岡三証券やみずほ証券は12月の相場を「踊り場」や「横ばい」とみる。日本株にくわしいプロほど足元の相場に懐疑的な見方を持ちやすい。ただ、市場参加者すべてが強気でない上昇相場は、意外と持続するものだ。
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