QUICKコメントチーム=池谷信久、片平正二、大野弘貴
Photo=Alex Wong/Getty Images
米連邦準備理事会(FRB)が11日公表した米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの政策金利見通し(ドットチャート)における、2020年末のフェデラルファンド(FF)金利の中央値は現行水準と同じ1.625%(1.50~1.75%)だった。
中央値は9月の1.875%(1.75~2.00%)から0.25%低下した。ただ、それ以上に注目すべきは、17人のメンバーのうち現行水準を予想した人数が、9月の8人から13人に大きく増えたことだろう。「20年中は現状維持」がFOMCのコンセンサスになったと言えそうだ。
これに対して、市場では追加利下げの見方がくすぶる。
ナットウエストは11日付のリポートで「FRBが追加利下げは必要ないと判断していることは認めるが、成長とインフレの両方が不十分であり、世界的および国内的に進行中の多くのリスク(金融、政治、貿易、成長)がある」と指摘した。そのうえで「我々はFRBの考え方がいかに急速に変化するかを見てきた。『課題』が続く中で、FRBの見方は変わると予想しており、現時点では2020年に2回の利下げ行うという当社予想を変えるつもりはない」とした。
TDセキュリティーズも「FRBの金融政策判断は『適切』と説明され声明文からは『不確実性』の文言が削除されるなど、これまでのハト派的な表現が変更されたものの、注視続ける(monitor)という文言は、今後数カ月のうちに再び緩和に向かう暗黙のバイアスである」と指摘。「再び経済指標が悪化する背景があると仮定」し、20年中に2回の追加利下げがあるとの予想を据え置いた。
※QUICK Market Eyes®はトレーダーやディーラー、運用担当者の皆さまに向けたQUICK独自のマーケット・コメントサービスです。日米の個別株から債券を含めた先物市場まで幅広くカバー。証券会社や機関投資家など運用・調査の現場への取材を通じて得た専門性の高い金融情報を提供します。