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2019年の国内IPOは「小粒でも……」 目立つIT関連企業の出資、上場で回収

QUICKコメントチーム=根岸てるみ

サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコが11日、同国の証券取引所に上場した。上場時の時価総額は1.9兆ドル、日本円で200兆円近くに迫り、米アップルの1.2兆ドルを上回って世界最大になった。アラムコを筆頭に2019年は海外で大型の新規株式公開(IPO)が相次いだ。米配車サービスのウーバー・テクノロジーズやリフト、植物由来の人工肉を手掛けるビヨンド・ミートが注目を浴びた。アリババはニューヨーク証券取引所と重複上場する形で香港取引所への上場を果たした。

一方、国内の上場は85銘柄(12月の上場予定を含む、株式移転などは対象外)。残り2週間余りで、あと17社の上場が控える。海外に匹敵する高い知名度で大型のIPO案件はなかったが、初値が公募・売り出し(公開)価格を上回るケースが多く、サーバーワークス(4434)は3.8倍と急騰した。参考までに、直近1年に上場した銘柄の値動きを示す「QUICK IPOインデックス」(単純平均)は年初来で35%上昇。「山椒は小粒でもピリリと辛い」IPO市場になったといって良いかもしれない。

12日に東証マザーズに新規上場した医療介護の求人サイトやオンライン診療を手掛けるメドレー(4480)の初値は1270円で公募・売り出し(公開)価格である1300円を2%下回った。そのメドレーの同社の大株主第3位にはSNSサイトを運営するグリー(3632)の名前がある。グリーは上場に伴い保有する188万株(総株数の6.5%)すべてを放出。株価しだいでグリーの2020年6月期の収益は押し上げられる可能性がある。同社は7月に新規上場したカードゲームのブシロード(7803)の大株主でもある。

最近めだつのは、こうしたIT関連が早い段階からIPO銘柄に出資し、上場時に保有株を売り出して投資収益を上げるケースだ。

ウーバーなどに投資したソフトバンクグループ(9984)、リフトに出資した楽天(4755)は直近決算で投資に関する損失を計上したが、グリーの案件はまずまずのようだ。ちなみに、11日時点の初値倍率ランキングで首位のサーバーワークスにはNTT(9432)傘下のNTTコミュニケーションズやNTTデータ(9613)が出資している。

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