QUICKコメントチーム=池谷信久、編集チーム
QUICKがこのほどまとめた2019年12月の月次調査<債券>によると、債券市場参加者が「最も注目している投資主体」の問いで、「政府・日銀のオペレーション」が40%と11月調査の48%から低下する一方、「外国人」が28%から急上昇し40%で並んだ。前者は14年10月以来の低水準で、後者は08年4月以来の高水準となった。
かねて海外勢は日本国債への積極投資に動いてきたが、昨年10月以降は日本国債に投資したときに得られる上乗せ金利(ベーシススワップ)が縮小し、投資妙味が薄れていた。そうした中で12月に長期金利が一時0%台に上昇したこともあって、海外勢による需給の変化が意識された面があるとみられる。
債券相場に与える影響を示す指数は両者とも50前後とほぼ中立の状態にある。ただ、20年の日銀の金融政策の方向性についての問いでは「現状維持」の確率が70%を超えており、あまり材料視されそうもない。当面は外国人の売買動向が売り買いどちらに傾くかがポイントになりそうだ。
また今回調査(12月末に実施)であわせて聞いた2020年の長期金利(10年国債利回り)の見通しは最高値の平均が0.124%、最低値の平均がマイナス0.135%。金融政策以外のリスク要因としては「米国の政治・経済・金融の混乱」と「中国の経済・金融の混乱」に関心が集中し、中東リスクを挙げた回答者は126人中わずか7人だった。
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