QUICK編集チーム=伊藤央峻
11月の米大統領選ではトランプ氏が再選を果たし、政策や米中関係に大きな変化もないためドル円相場もさほど大きく動かない——。QUICKと日経ヴェリタスが共同で行った外為市場関係者への調査で、こんな見方が目立った。
「トランプ氏の再選」「バイデン氏が当選」「サンダース氏やウォーレン氏が当選」の3シナリオでドル円相場が投票日(11月3日)から年末までにどう動くかを聞いた
トランプ大統領の再選確立は…
まずトランプ大統領の再選確率を聞いたところ、平均値は65%で最も多い回答は80%。世論調査の支持率が底堅く、民主党が有力候補を一本化できていないこともあり、多くの市場関係者が再選を見込んでいる。
それを前提に投票日後のドル円相場の動きを予想してもらうと「ほぼ横ばい」(35%)と「5%未満の円安」(34%)が拮抗した。保護主義を前面に押し出したトランプ大統領の1期目は、選挙直後に1ドル=118円程度のドル高・円安になり、その後は104〜114円程度で比較的安定して推移した。再選されれば政策は現状維持の一方、米中関係の不透明感は残り、相場は上にも下にも大きく動きにくいというのがメーンシナリオのようだ。
バイデン氏が大統領でも円相場は横ばい
民主党候補の中で支持率で一歩リードする中道派バイデン前副大統領が当選した場合も「ほぼ横ばい」が4割弱。最大のリスクシナリオは、急進左派のサンダース上院議員やウォーレン上院議員の当選だ。
GAFA規制など懸念材料も多く
「GAFA規制や富裕税といった反資本主義的な政策が市場心理を冷やす」(MCPの嶋津洋樹チーフストラテジスト)との懸念がある。ドル安・円高方向に傾くと予想する回答は合計で7割を上回った。
民主党候補に誰がなるかの予想では、バイデン氏(65%)、サンダース氏(12%)、ブティジェッジ氏(10%)、ウォーレン氏(8%)、ブルームバーグ氏(3%)の順だった。
調査は14〜15日に実施し、98人が回答した。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。