■ダウ寄与度ランキング―小幅続伸、アップルが45ドル押し上げ
・ダウ工業株30種平均は小幅続伸して11ドル60セント(0.04%)高の2万8734ドル45セントで終えた
・中国の武漢市を中心に感染者が拡大している新型コロナウイルスの感染者が6000名を超えたものの、前日に好決算を発表したアップルなどが強く堅調にスタート
・この日まで行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持が決まった一方、声明文で民間銀行が米連邦準備理事会(FRB)に預ける超過準備預金金利(IOER)を1.55→1.60%へ5bp上げた一方、レポによる資金供給を少なくとも4月まで続ける方針を示すとFOMC後はダウが伸び悩み、債券が買われる展開となった
・アップルが分割後の上場来高値を更新して45ドルの押し上げ要因となり、値下がり20、値上がり8銘柄、コカ・コーラが横ばいでやや売り優勢の展開だった
■マクドナルドが2%高―10~12月期増収増益、既存的売上高が10年ぶり水準と好調
マクドナルドが29日に発表した2019年10~12月期決算は、増収増益だった。売上高は前年同期比4%増の53億4900万ドルで市場予想の53億593万ドルを上回った。純利益は11%増の15億7200万ドルだった。一株利益も1.97ドルと市場予想の平均(1.96ドル)を上回った。既存店売上高が5.9%増と10年ぶりの高水準で、米国については5.1%増だった。
29日の米株式市場でマクドナルドの株価は前日比1.9%高の214.44ドルで終えた。
■マイクロソフトが時間外で一段高―10~12月期決算が予想上回る、アジュールなど好調
マイクロソフトが29日の大引け後に発表した2019年10~12月期決算は、一株利益(EPS)が前年同期比39%増の1.51ドルで市場予想の平均(1.32ドル)を上回った。売上高は同14%増の369億ドルで、市場予想(356億ドル)を上回り、大幅な増収・増益決算だった。
ネットワーク経由で情報サービスを提供する「クラウドコンピューティング」のアジュールの売上高が62%増となったほか、基本ソフト(OS)のウインドウズ7の保守期限終了を前にオフィス365などのソフトウェアも好調。四半期ベースで過去最高の売上高を記録した。決算資料でサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「我々は機会の拡大とともに、信頼されるテクノロジーでより持続可能な世界を創造し、すべての人とすべての組織が利益を得ることができるよう取り組む」との見解を示した。
好決算を受けて29日の米国市場の時間外取引でマイクロソフトの株価は173ドル台に上昇し、29日に付けた上場来高値(168.75ドル)を上回った。好決算に伴いアナリストの目標株価引き上げが相次ぐようなら、堅調な展開が続きそうだ。
■GEが続伸―決算が市場予想を上回る、20年FCF見通しを評価
ゼネラル・エレクトリック(GE)が29日に発表した2019年10~12月期決算は、一株利益(EPS、NonGAAP)が0.21ドルで市場予想の平均(0.17ドル)を上回った。売上高は前年同期比1%減の262億3800万ドル、純利益は同6%減の5億3800万ドルで、市場予想は256億6760万ドルだった。
電力部門が黒字に転換したほか、航空事業や減ヘルスケアは黒字成長だった。
29日の米国株式市場でGE株が続伸した。日中取引の終値は前日比10.31%高の12.94ドルだった。決算が市場予想を上回り、好感した買いが入った。目標株価の市場コンセンサスは直近で13ドル(16社)と、3カ月前の11ドルから9%上昇。
■マスターカード、10~12月期大幅増益も新型肺炎の影響懸念され上値重い
マスターカード Aが29日に発表した2019年10~12月期決算は、大幅増益だった。前年同期に計上していた訴訟費用の8億ドル弱がなくなったため、収益が押し上げられた。主力の米国での取り扱い残高が9%増だったほか、欧州や中南米も伸びた。
売上高は前年同期比16%増の44億1400万ドル、純利益は2.3倍の21億ドルで市場予想はそれぞれ44億60万ドル、18億9346万ドルだった。一株利益(EPS、NonGAAP)は1.96ドルで市場予想の平均(1.87ドル)を上回った
今年に入ってからマスターカードに対するアナリストの強気スタンスが増えている。米中協議が第1弾の合意に達し、先行き景気に対して楽観的な見方が広がった。ただ、足元で中国・武漢が感染源とされる新型肺炎が世界的に拡大。中国では国外旅行を含むツアー旅行が禁止された。春節(旧正月)でカード需要が高まる時期とあって、今後のマスターカードの業績への悪影響が懸念されるところだ。
■テスラが時間外で大幅高―10~12月期の売上高が予想上回る、モデルYの生産前倒しも発表
電気自動車(EV)大手のテスラが29日の大引け後に発表した2019年10~12月期決算は、一株利益(EPS)が前年同期比28%減の0.58ドルで市場予想の平均(0.51ドル)を上回った。売上高は同17%増の73億8400万ドルで、市場予想(69億9000万ドル)を上回り、増収・減益決算だった。
期間中、主力の廉価版EVのモデル3の販売台数は同16%増の9万2620台で市場予想(8万9800台)を上回って好調だった。決算資料では、廉価版の多目的スポーツ車(SUV)のモデルYについて生産を予定より早めて2020年1月に始め、1~3月期末までには出荷する方針も示された。
また中国の上海工場に関しては、SUV人気を考慮してモデルYの生産能力をモデル3並みにするよう計画しているとの方針も明らかにした。
目標株価の市場コンセンサスは直近で399ドル(33社)と、3カ月前の288ドルから38%上昇した。モデルYへの期待感から29日の米国市場の時間外取引でテスラの株価は656ドル台に上昇し、22日に付けた上場来高値(594.50ドル)を大幅に上回った。
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※QUICKがプロ向けに展開するコメントサービス「QUICK Market Eyes」の記事を一部編集、構成しました。