QUICK Market Eyes=片平正二
堅調な米国株が一部の主力ハイテク株に支えられている構図が改めて浮き彫りになっている。RBCキャピタル・マーケッツの20日付のリポートによると、2019年10~12月期(4Q)末時点でヘッジファンド(HF)が投資するS&P500採用銘柄で金額ベースで最も多かったのはアマゾン・ドット・コム(184億ドル)だった。
これにマイクロソフト(181億ドル)、フェイスブック(170億ドル)、米検索大手グーグルの親会社であるアルファベット(146億ドル)、アラガン(123億ドル)と続いた。時価総額トップのアップルは12位で67億ドルだった。
RBCのリポートは、米証券取引委員会(SEC)への届出書を元に4Q時点の356本のHFの保有状況を分析したもの。HFの保有が多い銘柄群のパフォーマンスは良く、2020年初も好調さは続いているという。一方でリポートは「研究が始まった2010年以来、HFが好む銘柄群のパフォーマンスは好調だ。しかしここ数年、HFが苦戦したり、ファクター運用がグロースからバリューに変わったりすると、これらの銘柄群のパフォーマンスが低下することに気づいた」と指摘している。「HFは自分たちのお気に入りの銘柄を保有することで、新型コロナウイルスによる世界的な成長への脅威に対応している。この銘柄群のパフォーマンスが低下し始めると、HFが米株の保有量を減らし始めている可能性があることを示唆している。短期的には市場全体の方向性に逆行するものとなる」とし、相場のトレンドを占ううえで主力ハイテク株の動向に改めて警戒していた。
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