NQNニューヨーク=古江敦子
米通信計測機器の米キーサイト・テクノロジーズが24日夕に発表した2019年11月~20年1月期決算は市場予想を上回る増収増益となった。次世代通信規格「5G」向け計測機器の需要は、通信基地などインフラからスマートフォンなどに広がってきた。決算説明会で同社首脳は、新型肺炎による一時的な需要減があっても「成長見通しは揺るがない」と業績に自信を見せた。
■5Gがけん引し役に
11~1月期の売上高は前年同期比9%増の10億9500万ドルと市場予想(10億6300万ドル)を上回った。主力の5G向け通信計測機器など「通信ソリューションズ」部門が9%増とけん引した。「電子産業ソリューションズ」部門は8%増えた。同部門では不調が続いた半導体メーカーの計測需要が盛り返したという。純利益は43%増の1億6300万ドル。特別項目を除く1株利益は1.26ドルと市場予想(1.08ドル)を上回った。
ロン・ネルセシアン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で「5G、航空宇宙・防衛、自動車産業など多角的な事業展開が長期的に成長を促すと自信を持っている」と語った。11月の決算説明会では「中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)との取引に対する米政府の規制で11~1月期の売上高が5%押し下げられる」との予想を示していたが、市場で高まっていた懸念は無用だったようだ。
■新型肺炎の影響は?
市場関係者は新型肺炎の業績リスクも案じていた。中国政府が企業の休業期間を延長した影響で、同国内のキーサイトの販売拠点や研究施設も一部で閉鎖されたままだ。ネルセシアンCEOは「当面は売上高の伸びを圧迫する」としつつ「年後半には大きく持ち直す可能性が強いため、20年10月期通期でみれば新型肺炎の影響はほとんどない」との見方を示した。
サスケハナ・ファイナンシャル・グループのメヘディ・ホッセイニ氏は「キーサイトの供給網は中国外にあるため生産体制は維持しているが、世界的な景気減速が強まれば計測機器の需要が鈍るだろう」とみる。19年10月期の地域別売上高をみると中国や韓国、日本を含むアジア・太平洋地域が43%を占め、米国の40%を超える。新型肺炎の問題が収束しなければ業績下振れリスクは高まるとみる。
もっとも、長期的な成長シナリオを描く市場関係者は多い。ドイツ銀行のブライアン・ユン氏もその1人で「新型肺炎が一時的に収益を重荷になっても、5G関連のスマホや半導体、データセンターの計測需要に加え、航空宇宙・防衛、政府関連、自動車関連と幅広い顧客からの引きは途切れない」と指摘する。
キーサイト株は24日夕の時間外取引で一段高となり、この日の終値である90.89ドルを7%近く上回る97ドル台前半まで上げる場面があった。米中貿易交渉の不透明感から、予想株価収益率(PER)は昨年11月に付けた22倍から現在は17倍に下がっている。ネルセシアンCEOの見立て通り年後半から成長力が高まれば、昨年11月につけた上場来高値(110.00ドル)を試す展開もありそうだ。

※キーサイト・テクノロジーズの株価(24日の通常取引まで)
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