QUICK Market Eyes=大野弘貴
2日の日経平均株価は6日ぶりに反発して推移している。日銀の総裁談話でセンチメントの悪化に歯止めがかかった格好だ。新型肺炎の影響が米大統領選挙の行方も左右しかねないだけに、不安定な地合いは続きそうだ。
■「サンダース大統領誕生」のシナリオに警戒感
3日に米民主党の大統領候補指名争いで序盤最大の山場となる「スーパーチューズデー(注1)(14州の予備選などが集中)」を控える。2月29日のサウスカロライナ州予備選では、当初有力と見込まれていたジョー・バイデン前副大統領が初勝利を飾った。ただ、米政治専門サイトのリアル・クリア・ポリティクスがまとめた世論調査の平均によると、2月末時点では左派のバーニー・サンダース上院議員が2位のバイデン氏に10ポイント以上の差をつけて首位を走っている。
JPモルガンは2月28日付リポートで「サンダース氏が民主党の大統領候補に急浮上している。トランプ米政権が公衆衛生上の不安にうまく対処できなければ、トランプ大統領を打ち負かす可能性もある」と指摘。「3月の金融市場は、米国政治からの新たな挑戦に直面している」との見方を示した。「社会主義者のサンダース氏が大統領になれば、株式市場にとって間違いなくマイナス」(外資系証券)との声が聞かれた。
■3月のFOMCでの利下げを予想
2月28日の株価反転のきっかけとなった金融政策については、各証券会社が総じて3月のFOMCでの利下げを予想した。ノムラ・セキュリティーズとエバコアISIは3月のFOMCで50bpの利下げを予想。モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスは3月25bpの利下げを予想している。なお、CMEグループの「Fedウオッチ」によると、2月末時点の金利先物市場は3月FOMCで50bpの利下げを、約95%の確率で織り込んでいる。
■終わりの見えない新型コロナウイルスとの闘い
「金融システムへの不安がなくなれば、株式市場に対しての安心感に繋がる。ただ、終わりの見えないウイルスとの闘いにどこまで中央銀行の金融政策が効果を発揮するのか、不透明でもある」(国内証券)。同じ利下げでも、米中摩擦が激化した19年と違う局面であることを指摘する声も聞かれている。
足元ではCOVID-19の感染拡大を懸念する動きに加え、米大統領選の行方と悪化する経済指標の判断にも相場が振らされる展開だ。投資機会を探るためにも、相場が動いた時の要因をしっかりと把握しておきたい局面だ。
▼スーパーチューズデーとは(注1)
4年に1度行われる米国大統領選挙で、民主・共和両党の候補者指名のため州ごとに実施する予備選挙・党員集会が集中して行われる2月または3月の上旬の火曜日のこと。最終候補者の選定に大きな影響を与えるため、「スーパーチューズデー(決戦の火曜日)と呼ばれている。(「金融用語集」より)
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