QUICK Market Eyes=丹下智博、池谷信久
米ニューヨーク連邦準備銀行が16日に発表した3月の製造業景況感指数は前月比34.4ポイント低下のマイナス21.5と、QUICK FactSet Workstationによる市場予想(0.50)を大きく下回った。新型コロナウイルスの感染拡大が製造業の企業マインドに悪影響を与える様子が初めて経済統計で示された。
■リーマンショック以来の水準に低下
低下幅は調査を始めた2001年7月以来で過去最大、水準はリーマン・ショック後の09年3月以来11年ぶりの低水準に落ち込んだ。6か月後の事業見通しもリーマン後の09年2月以来の低水準で、先行きに対しても悲観的だ。日本時間16日早朝の米連邦準備理事会(FRB)による緊急大幅利下げの妥当性を示す数字といえよう。
■金融より企業・投資家の資金繰りに警戒
16日の黒田日銀総裁会見でも、金融機関ではなく一部の投資家や企業でドルの需給が逼迫していることが言及された。一部のファンドとエネルギー関連企業、多国籍企業などを念頭に置いたと推測される。各国中央銀行が銀行(インターバンク)に対して潤沢な流動性を供給しても、必要とするファンドや企業へと資金が流れ難いという状況が続いているようだ。社債金利が上昇し、信用リスクが高どまったまま、株価が大きく下落する状況は、中央銀行の限界を意識させることにもなりかねない。