QUICK Market Eyes=丹下智博
米株式市場の変動性指数(VIX)がリーマン・ショック時を上回ってきた。金融市場ではTEDスプレッドが2009年以来の高水準へと急拡大している。
TEDスプレッドは3カ月物の米短期国債(Treasury bill)と3カ月物のユーロドル(Euro Dollar)LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の頭文字をとった名称で、信用力の高い米短期国債と金融機関の信用リスクを反映したLIBORとの利回り格差を示す。
現状では、一部のファンドや個別の企業の資金繰りに不安が生じてい入るものの、金融システムには不安はないというのが大勢だ。しかし、TEDスプレッドの拡大は、金融市場で信用不安が発生し、金融機関同士でも貸し倒れリスクが意識され始めたということを示す。2007年8月のパリバ・ショック、2008年3月のベアー・スターンズ証券の経営危機、同9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻などを思い返し、”過度”に悲観的なシナリオを描く市場参加者が増える時間帯に入ってきたのかもしれない。
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