NQN香港=柘植康文
英国系銀行HSBCが大幅に6日続落している。一時、前日比2.15香港ドル(5.4%)安の37.80香港ドルまで下げ、2009年3月以来、約11年ぶりの安値を連日で付けている。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は2日、「英当局から配当中止の圧力を受けたことで、HSBCの社内でロンドンから香港への本社移転構想が浮上した」と報じた。引き続き株主還元の中止が嫌気されているほか、事業の先行き不透明感が売りにつながっている。
FTの報道によると、取締役や執行役員の一部は英当局が企業の配当政策に介入したことに怒りを示しており「我々は英国にいるべきではない。本社移転の要求が高まるだろう」との声が出ている。別の幹部は英当局の圧力に関して「疑問の余地が大きい」と語った。一方、HSBCの広報担当者はFTの取材に対し「本社移転の議論はない」と否定した。
HSBCは3月末、英イングランド銀行(中央銀行)の傘下組織からの要請を受け、20年中の配当と自社株買いを見合わせると発表。1日の香港市場で株価は9.5%下落していた。同行は配当中止とともに、新型コロナウイルスによる経済の下押しにより1~3月期の収入に悪影響が及ぶと明らかにしていた。