28日に発表された5月23日までの週の米新規失業保険申請件数は、前週比32万3000件減の212万3000件だった。新型コロナウイルスの感染が深刻となった3月半ば以降の10週間で失業保険の申請件数は4000万件を突破し、4人に1人が職を離れた計算になる。経済活動の一部再開後も雇用の改善ペースは緩慢で長い時間を要することが示唆された。
■継続受給者数の減少で雇用悪化に「底打ち」期待
一方、16日までの週の継続受給者数は過去最高となった前週の2491万2000件から2105万2000件へと減少した(前週比386万件減)。16日までの週は5月の米雇用統計の調査期間に含まれ、5月の米失業率がさらに悪化することは避けられないようだ。しかし、継続受給者数が前週比で減少となるのは、今回の新型コロナウイルス感染拡大の中で初めてであり、米雇用の悪化が底打ったのではないかと楽観的な見方がマーケットでは浮上した。
■労働市場活動の改善を示す最初の兆候の1つ
ノムラ・セキュリティーズは28日付リポートで、継続的な請求の減少は「州が再開し始める中での再雇用活動の証拠を示唆している。再開の動きが早いジョージア州をはじめとする州では、継続請求額が大きく減少したが、継続請求額が週ごとに大きく変動するカリフォルニア州では、また大幅な減少が見られた」と指摘。新規失業保険申請件数は季節調整済みベースで、3月中旬以来となる200万件割れとなったものの、通常の国家プログラムを通じて提出された190万件の(季節調整済み)請求に加えて、パンデミック失業援助(PUA)プログラムにおいては、自営業者や契約労働者を含む、従来は通常の国家プログラムに適格でない労働者を対象とする120万件の請求が提出された。歴史的に非常に高い水準のままだとする。
ただ今継続請求の件数の減少は、労働市場活動の改善を示す最初の兆候の1つと指摘。「非農業部門雇用者数が5月に再び数百万人減少するのを防ぐには遅すぎるだろうが、6月に発表される雇用統計では労働市場の状況が改善する強い兆候を示すだろうという我々の見方と一致している」と述べた。ただし、失業率は2021年まで2桁台にとどまる可能性が高く、「今日のデータは完全な回復とは対照的に、安定化の文脈で考慮されるべきである」とした。雇用環境に改善を兆しがみえはじめたものの、完全な回復には時間を要する。(QUICK Market Eyes 丹下智博、川口究―)