12日のメジャーSQを前に、高水準にある裁定売り残の解消を期待する見方がある。現物買い/先物売りが起こる裁定解消は本来、相場のトレンドには中立とみられるが、地合いが好転する中で我田引水的な解釈が広がりそう。
■踏み上げアラートか
2万3000円の節目を突破することで踏み上げに弾みが付くとの期待もある。市場からは「踏み上げアラート炸裂ですね、ジャパン・踏み上げ・アラート(JFA)。東証次世代システム『arrowhead(アローヘッド)』に赤い電光、兜町から赤いレーザーを空に照射しては?」(外資系)と、踏み上げの注意喚起を促す見方が出ていた。東京都内で新型コロナの感染者が依然として出ていることは気になるが、政府や東京都は夜の繁華街の対策に注力するとみられ、医療崩壊も起きていない状況だけに、市場で過度に警戒する見方は避けられそうだ。
■米中の対立激化は強まりそう
相場の波乱要因として注意したいのは、引き続き米中関係である。産経新聞は6日付の一面で「習主席国賓来日、年内見送り 事実上の白紙」と伝えた。中国の習近平国家主席の国賓としての来日が無期延期状態になるといい、政府高官は「習氏は来日できないし、来ないだろう」との見通しを明らかにしたという。9月に延期されるG7サミットでトランプ大統領が中国包囲網が形成されるとみられるが、習氏の国賓としての来日が見送られる可能性が強まると言うことは、日本が米国との関係を重視することを明確化する上で好感されそうだが、米中の対立激化の流れはより強まりそう。
レイモンド・ジェームズは5日付のリポートで「トランプ大統領は依然として米中貿易協議のフェーズ1合意に懐疑的なようだが、米通商代表部(USTR)は中国による農産物の買い付けや構造改革の実施を引き続き確認していると述べた。この力学は近いうちも続くと思われるものの、米政府全体の反中行動と態度の高まりを考えると全体的な休戦は依然として不安定である」と指摘。フェーズ1合意の履行が難しいとみられ、トランプ政権が中国の第5世代移動通信システム(5G)技術に圧力を可決中、米中の休戦状態がいつ瓦解してもおかしくない状況にあることは気をつけたい。米国内で人種差別のデモが激化していることも引き続き、香港の人権問題で中国当局が強硬姿勢に出る流れを後押しする恐れがあることに留意したい。(QUICK Market Eyes 片平正二)