独ESG評価会社アラベスクS-RayのESGスコア(100点満点)を6月末時点で順位付けしたところ、日本企業の首位はオムロン(6645)の72.80点だった。2位はポーラ・オルビスホールディングス(4927)、3位はNTTドコモ(9437)で、東京エレクトロン(8035)、塩野義製薬(4507)を含め上位5社が70点を超えた。
■オムロンの株価上昇率、日経平均を上回る
海外企業も含めた世界ランキングでは、オムロンが8位、ポーラ・オルビスホールディングスは12位で、NTTドコモと東京エレクトロンを含めた4社が上位20社に入った。日本企業約550社の分布状況を10点刻みで見ると、50点以上60点未満が248社と最も多く、平均は53.73点だった。
四半期末ごとの変化をみると、2019年12月31日時点の日本企業の平均は52.52点、20年3月31日時点では53.70点。対象企業数の増減があるものの、新型コロナウイルスの感染拡大でサプライチェーンなどESG(環境・社会・企業統治)のSの課題が浮き彫りになるなかで、点数がわずかながら上昇した。
国内首位のオムロンは昨年末時点の66.80点(国内14位)、今年3月末時点の70.21点(同4位)からESGスコアを上げた。同社の6月末時点での株価騰落率をみると、昨年末に比べ12.5%高く、今年3月末比では28.2%高い水準だった。日経平均株価は今年3月末比では17.8%高いが、昨年末比では5.8%安い水準にあり、オムロンのパフォーマンスが日経平均を上回った。
■業種別にESG課題のウエート付けが異なる
アラベスクS-Rayは70カ国・地域以上の約7300社について、企業の公開情報と世界の情報元からESG評価に必要なデータを自動収集し、人工知能(AI)による独自の手法でESGスコアを毎日更新している。ESGスコアは100点満点で、E、S、Gの3つのサブスコアから成り、サブスコアは合計22の評価項目から構成されている。
アラベスクS-RayのESGスコアは業種別に業績に重大な影響を与えるESG課題と株価へのインパクトを考慮している。業種別に重きを置く評価項目のウエートを変えているので、業種別にESGスコアの平均が異なる。
例えば、オムロンや東京エレクトロンが属する「電子技術」の6月末時点の平均は60.06点と国内企業全体の平均点に比べて高い。今回は全社を単純に順位付けしたが、会社を評価する際にはESGスコアを同業種内で比べたり、業種の平均値と比べたりするのが有効だろう。(QUICKリサーチ本部 遠藤大義)