先週公表された1日時点での米連邦準備理事会(FRB)のバランスシートは3週連続での縮小となった(緑面)。新型コロナウイルスで打撃を受けた中小企業の資金繰りを支援するための「メインストリート融資制度(MSLP)」での融資がまだ行われていないとは言え、FRBの緩和姿勢がピークアウトしたと捉える市場参加者も現れそうだ。主要各国との通貨スワップ協定に基づく外国中銀へのドル資金供給は5週連続の減少となり、レポファシリティーによる資金供給も2019年9月にFRBが短期金融市場への介入を再開して以降で最低水準となった。FRBが掌握する短期金融市場では危機モードが沈静化したように見える。
一方、セントルイス連銀が週次で公表する金融ストレス指数(STLFSI2)は6月26日時点で0.25に上昇し、2週連続で「中立」であるゼロを上回った(赤線)。同指数は金融環境に警戒感が再燃していることを示唆する。FRBには見えていない金融市場の歪みに、マーケットはおびえているのかもしれない。(QUICK Market Eyes=丹下智博)