新型コロナウイルス感染拡大の影響で大荒れとなった2020年前半の株式相場。投資信託を運用する投資のプロたちも前例のない状況への対応にてんてこ舞いだった。有力ファンドは半年間で組み入れ銘柄をどう入れ替えたのか。月次レポートをもとに「ビフォーアフター」を検証した。
■海外株式を多く組み入れ
今回取り上げるのはレオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」(9C31108A)。20年6月末時点の組み入れ上位10銘柄を19年12月末時点と比べると、7銘柄が新しい顔ぶれだった(図1)。このうち5銘柄が海外株式で、組み入れ比率の1位も米国の宅配ピザ大手ドミノ・ピザ(2.06%、DPZ)だった。銘柄数は240から255に増えた。
国内企業で新たにランク入りしたのは、システム開発を請け負うSHIFT(3697)と通信工事のミライト・ホールディングス(1417)の2社だった。
■現金比率を一時3割超に
現金比率は19年12月末の1.9%から20年2月末に3割超まで引き上げた後、6月末時点は8.72%まで下げた(図2)。半年前との比較では、東証一部上場銘柄の組み入れを減らした半面、「その他海外株」を増やした。
1~6月の運用実績は東証株価指数(TOPIX、配当込み)を上回る良好な成績だった(図3)。コロナショックのあおりで基準価額は3月16日に年初来安値をつけ、そこから6月末までに34.4%上昇した。年初来リターンは1.4%のプラスで、コロナ禍を乗り越え年初来高値圏にある。
■今後の相場下落にも備え
レオスの藤野英人社長は、最新の月次運用レポートで「これからは市場全体の動向はさておき、いつも以上に個別銘柄の投資判断が重要になる」と指摘。今後の資産配分については、相場の下落にも対応できるよう、海外株式などの組み入れを15%以下に引き下げ、かつ現金比率を10%程度まで上昇させるという。(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)