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「郊外への脱出は本物」、米戸建て住宅はコロナ前の水準に

全米住宅建設業協会(NAHB)が16日発表した7月の住宅市場指数は3カ月連続で上昇し、72と新型コロナウイルス感染拡大前の水準に急回復した。同指数は、住宅建設業者や販売業者などからなるNAHB会員を対象に業界の景況感を測るもので、50を超えると業者が新築一戸建て住宅販売市場の状況を「好調」とみていることを示す。

住宅市場指数

※米NAHB住宅市場指数と住宅ローン金利

■木材価格は高値

NAHBは急回復の背景として、既存の住宅在庫が減少していること、新型コロナウイルス対策による春の行動制限中に発生した需要、低金利を挙げた。NAHBのチーフエコノミストは、「住宅市場は明らかに回復しているが、課題もある」と指摘。「木材価格は2年ぶりの高値となっており、建設業者は他の建築資材のコスト上昇を報告している一方で、土地と熟練労働者の確保の問題は依然として残っている」という。一方、住宅需要の地理的な変化も指摘。人々がより大きな家を求め、今後はテレワークが広がり小規模都市や地方、大都市郊外などの低密度の地域では、新たな住宅需要が高まっており、「郊外への脱出は本物です」と述べていた。

■住宅ローン金利は過去最低

米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が16日に発表した30年物・固定型の住宅ローンの平均金利が2.98%に低下し、1971年の統計開始以降で最も低い水準となったこと。米30年国債利回りの低下を反映したものとみられ、米国の景気が直ぐに回復しない恐れがあることを示唆している。ただ16日付の英フィナンシャル・タイムズ紙電子版によれば借り換え需要の強さを受けて、それでも急激な金利低下は抑えられているという。住宅ローン金利の低下は住宅市場を通じて米国の景気を下支えするとみられるが、新型コロナの拡大を受けて借り手優位な状況なら、その反動も懸念されそう。(QUICK Market Eyes=池谷信久、片平正二)

<金融用語>

連邦住宅抵当貸付公社(Federal Home Loan Mortgage Corporation)の通称(Freddie Mac:フレディマック)。政府支援企業(GSE;Government Sponsored Enterprise)の一機関である。 住宅ローン市場に安定的に資金を供給するために、ファニーメイが十分カバーしていなかった部分を補完する目的で、米国連邦議会の公認のもと1970年に設立された政府系金融機関。 ファニーメイとは競合関係で、ファニーメイと同様、株式会社形態の民間会社である。 フレディマックは、民間金融機関から直接住宅ローン債権を買い取り、それをもとにして、パススルー証券を発行・保証する役割を果たしてきたが、ファニーメイとともに、2008年の金融危機による信用不安の拡大で経営が破綻。同年成立した米住宅経済復興法(HERA)に基づき、連邦住宅公社監督局(OFHEO)や連邦住宅金融理事会(FHFB)などを統合してできた米連邦住宅金融庁(FHFA)の監督下に置かれており、解体か存続か先行きが不透明な状態にある。

 

 

 


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