11日の東京株式市場で、ベネッセホールディングス(9783)株が前週末比7%安の2552円まで売られる場面があった。7日に発表した2020年4~6月期の連結決算は52億円の営業赤字(前年同期は1億5000万円の黒字)に転落し、新型コロナウイルスによる家庭学習サービスの需要増を見越していた投資家に冷水を浴びせた。しかし、コロナ禍で広まったオンライン学習の流れは止まりそうにない。株価も急落後は下げ渋り、終値は3.5%安の2657円だった。中長期での成長性に期待する声はなお多い。
■赤字決算に驚き、寄り付き直後は大幅下落
ベネッセHD株は学校休校による通信教育「進研ゼミ」の利用増加を期待した買いが入り、5月下旬には3245円の年初来高値まで上昇した。緊急事態宣言の解除による学校再開で2800円近辺まで下落したが、学校での学習の遅れを取り戻すための在宅学習ツールとして通信教育が伸びると期待する投資家も多く、3000円までのボックス圏内で推移していた。今回の赤字決算がネガティブサプライズと受け止められ、11日は商いを伴って大きく下落した。
もともとベネッセHDの4~6月期は新学期を迎える国内教育事業で教材の製造原価が増加するなどで利益水準が低い。今年はコロナ感染拡大で国内の様々な学校が休校となり、同社が提供する模擬試験の利用も減った。またグループの学習塾や英語教室「ベルリッツ」の一時休業もマイナス要因だ。
市場の予想通り、「進研ゼミ」は増収となり営業利益で10億円の効果があった。一方で学校向け教育事業や学習塾、英語教室の減収などが48億円の減益要因になった。21年3月期通期の連結業績予想を引き続き未定としたことも、先行きの不透明感を誘った。
■教育オンライン化への期待から下げ渋り
11日は取引開始直後に安値をつけており、その後は2.5%安まで戻す場面もあった。教育現場でのオンライン化の流れはコロナ後も続き、ベネッセHDの成長をみるうえでも重要なポイントになる。

※ベネッセHD株は急落後は底堅く推移した
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは「高校生など若い世代はデジタル機器を使い慣れている。オンラインとの順応性が高く、スムーズに学習を進められる」と話す。対面でなければ教育効果が上げられないという考えは、もはや時代の流れに沿わないとみている。
野村証券のアナリスト、繁村京一郎氏は7日付のリポートで、同社によるベネッセHDの21年3月期の業績予想を営業増益から営業減益へ見直す一方、「中期的にはベルリッツの再建の進行、塾や学校事業においてもオンラインサービスの提供など新たな教育サービスの提供が進み、安定成長が持続すると見込んでいる」という見方を示した。
■競争相手は「ユーチューブ」芸能人まで多様化
オンライン教育の分野は教育産業全般で新規参入が増えているだけでなく、「(動画投稿サイトの)『ユーチューブ』で、芸能人などを含めて授業だけでなく理科の実験内容まで見せる動画が投稿され、競争相手は多方面に広がっている」(岡三証券の小川佳紀・日本株式戦略グループ長)側面もある。「リアル」から「オンライン」へ稼ぎ頭のシフトがどう進むか。ベネッセHDの事業の状況をつぶさに見ていく必要がある。〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕