7月以降に堅調だった主力ハイテク株が売られ、足元でバリュー株が買い戻される展開が強まっている。ナスダック総合指数は8月6日に終値で1万1000ポイントを突破して史上最高値を更新したが、その後は3日続落している。中小型のラッセル2000指数が強く、ハイテク株への集中投資が一服するようなら、ナスダック高に支えられた観があった日本株も上値の重い展開が予想される。
■集中投資の巻き戻しに警戒
QUICK FactSet Workstationでiシェアーズ米国モメンタムファクターETF(MTUM)、iシェアーズ米国バリューファクターETF(VLUE)の8月の値動きを指数化したところ、11日終値時点でMTUMは月初来でマイナスに転じた。8日からVLUEがMTUMをアウトパフォームし始めたが、VLUEは11日にMTUMと共に売られる展開となった。この日の米国市場ではNY金先物の中心限月12月限が前日比93.4ドル(4.57%)安の1トロイオンス=1946.3ドルとなったのも目を引いた。一日の中心限月の下落率としては3月13日以来、5カ月ぶりの大きさだった。銀先物も大幅安で、中心限月の9月限は10.97%安の26.049ドルで終えた。主力ハイテク株と共に軟調だった非鉄相場が大幅安となっていることから、目先は米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和を材料にした集中投資(Crowded trade)の巻き戻しがやや警戒されそうだ。
ただ11日の米国市場の時間外取引で、株式5分割を発表したテスラが急伸し、通常取引終値比で8%超の急騰となっている。アップルが今月、株式4分割を予定していることもあり、株価が急騰したモメンタム株の分割発表を受けて地合いが好転するようなら、モメンタム株が再び強含むことも期待されそうである。(QUICK Market Eyes 片平正二)
<金融用語>
モメンタム株とは
成長期待が高く、値動きに勢いがあるため短期間で急騰するなど、株式相場全体の基調を左右してしまう銘柄のこと。日本では「材料株」にあたる。 特定のキーワードやテーマなどを材料に投資家の人気が集中し、割高な水準まで買われることが多い。ネット関連やバイオ関連の銘柄に多く見られる。