気になる大統領選挙の民主党副大統領候補の選定でようやく動きが出た。米大統領選で民主党の候補に内定しているバイデン前副大統領(77)が8月11日、副大統領候補を女性のカマラ・ハリス上院議員(55)に決めたと発表した。ハリス氏はジャマイカ系の父親とインド系移民の母親を持ち、初の黒人女性の副大統領候補となる。
■2024年の有力候補か
左派色の強いハリス氏が選定されることは米大統領選挙で政策がリベラル色を強める恐れがある反面、最も警戒されるのは仮に高齢のバイデン氏が大統領に就任した場合、バイデン氏に何かあった場合にハリス氏が大統領になる恐れがあることだ。キャピタル・アルファパートナーズは11日付のリポートで「バイデン氏の年齢を踏まえれば、副大統領候補は以前の選挙よりも重要であると信じてきた。バイデン氏が1期限りの大統領で、ハリス氏が2024年の民主党候補に指名されるか、バイデン氏が1期目に職務を遂行できずにハリス氏が出馬する可能性がある」と指摘し、バイデン氏が年齢的に2期目が難しい以上、ハリスしが2024年の選挙で有力候補になる恐れを指摘した。
政策面に関しては、「ハリス上院議員(カリフォルニア州選出)は、上院情報委員会と国土安全保障委員会に所属しており、さまざまなセキュリティ上の脅威や問題に精通している。彼女はロシアの米国への干渉を声高に主張し、中国の人権政策を批判してきたが、同時に米国との相互利益の問題で中国と協力することを望んでいた」と指摘。女性副大統領が誕生すれば、安全保障に詳しいスーザン・ライス氏、タミー・ダックワース上院議員といった女性がバイデン政権に入るのではないかとの憶測を高めるともみていた。
■大麻合法化にポジティブ・金融にネガティブ
ハリス氏が副大統領候補に指名されたことを受け、証券会社カウエンは11日付のリポートで「大麻合法化の動きにポジティブな一方、金融株にはややネガティブだ」と指摘した。リポートではハリス氏が規制物質リストから大麻を除外する法律の支持者だったとしつつ、「バイデン氏は既に議会が実現できるあらゆる大麻合法化法案に署名するつもりだった。大麻合法化の本当の推進力はバイデン氏の勝利だろう。ハリス氏はバイデン政権内で合法化の代弁者となるだろう」と指摘した。
一方、ハリス氏が州検事総長としての経歴を持っていることを踏まえ、「彼女は幅広い消費者金融保護政策を支持することを示唆している。2018年に議会を通過した銀行規制緩和法案に反対する立場を表明していた経緯もある」と指摘。もっとも、バイデン氏もこの分野では考えが近いことから、大きなインパクトは想定しづらいようだ。なお今後の選挙戦に関しては「効果的な代役を務める可能性が高く、バイデン氏は世論調査のリスクを1つ取り除いたようだ」とし、ランニングメイトとしての好影響を見込んでいた。(QUICK Market Eyes 片平正二)