NTTドコモ(9437)が8月3日にオンラインで開催した2020年4~6月期連結決算の説明会では「スマートライフ事業(金融・決済サービスなどの非通信分野)」「5G(次世代通信規格)」「ARPU(1契約あたりの月間通信収入)」などが焦点になっていたことが明らかになった。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
20年4~6月期の売上高に相当する営業収益は前年同期比5%減、営業利益は同1%増と減収増益だった。主力の通信事業で新料金プラン「ギガホ」「ギガホライト」への移行が進んだほか、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で海外旅行の自粛による国際ローミング収入などが減少した。
一方、スマートライフ事業が好調で営業増益を確保した。スマートフォン決済「d払い」の利用者数が6月末で2700万人を突破し前年同期の1.8倍となったほか、クレジットカード「dカード」の契約数は1300万件を上回り13%増えた。加盟店の拡大も順調で金融・決済取扱高は前年同期比32%増の1兆5000億円と好調だった。
吉澤和弘社長兼最高経営責任者(CEO)は、5Gへの取り組みの説明にも時間を費やした。今年スタートした5Gの契約者数は、8月1日時点で24万件になった。今後は5G端末の普及モデルの投入や対応エリアの拡大を進め、今期の目標としている250万契約に向かって「順調に進捗している」と自信を示した。
5Gは、携帯通信だけでなく、医療や教育、エンターテインメント、観光などで各企業と実証実験を進めており、「コロナ後」のリモート型社会の課題解決への取り組みを強調した。
アナリストやマスコミの質問では「ARPU」の見通しに強い関心が集まった。ドコモ光の契約増加や割引適用額の減少で4~6月期の総合ARPUは前年同期比30円増の4800円となった。先行きについて廣井孝史常務兼最高財務責任者(CFO)は、ARPUは改善傾向にあるものの、キャリア間での競争激化や新料金プランへの移行もあり、保守的にみているとした。その上で、リモート型社会への構造変化はデータ料金にとってはプラス要因であるとし、5Gの本格化についても期待感を示した。(QUICK Market Eyes 阿部哲太郎)