11月の米大統領選に向け民主党の全国党大会で18日、バイデン前副大統領が正式な大統領候補に指名される。世論調査ではバイデン氏が優勢。このままバイデン氏が勝利した場合、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰などを手掛かりに原油相場が下押しされると指摘される。さらにクリーンエネルギー推進でシェールオイル産業に逆風が吹くと米石油産業などが警戒している。
■トランプ氏との違い強調
市場関係者が注目するのはトランプ政権が脱退を決めた「パリ協定」に復帰するかどうかだ。バイデン氏は太陽光や風力などクリーンエネルギーへの積極的な投資姿勢を見せ、パリ協定への復帰も公約としている。楽天証券経済研究所の吉田哲コモディティアナリストは「反石油ともいえるバイデン氏が優勢であるなか、米国内での原油消費が減少するとの懸念が強まれば、原油相場は下押しされるだろう」との見方を示す。
バイデン氏は石油系企業からの支援を受けないとし、重要ポストに石油会社関連の人物を据えない公算が大きいことも、原油相場の下押し材料となる。トランプ大統領は就任当初、米石油メジャー最大手エクソンモービルのティラーソン前最高経営責任者を国務長官に指名するなど、「環境保全」から「石油開発重視」への転換を推し進めた。
楽天証券の吉田氏は「トランプ政権との違いを強調するため、人事でも環境保全を前面に打ち出している」とし、バイデン氏が環境対策に執着することで、市場参加者の原油投資をためらわせるとの意見を提示した。
■シェールの行方
もっとも、バイデン氏が米国内でのシェールオイル生産を抑止する姿勢が支援材料にもなりうるとの指摘もあった。野村証券の大越龍文シニアエコノミストは「実際、民間企業がシェールオイル減産を強いられることになれば、需給の引き締まりを意識した買いが優勢となるのではないか」とバイデン氏勝利で原油相場が下支えされる可能性を示唆した。
足元では1バレル40ドル台前半で膠着状態が続くニューヨーク原油相場だが、「バイデン氏優勢」の動きがどのように原油相場に波及していくか、引き続き注視する必要がありそうだ。〔日経QUICKニュース(NQN) 山田周吾〕