バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が15日発表した9月の機関投資家調査(3~10日実施)によると、出遅れ株や景気敏感株に資金を移し始めたことが明らかになった。株式相場そのものには楽観的な見方を強めているが、相場けん引してきたハイテク株が弱含むリスクを意識しているようだ。
■強まる楽観論
現状の世界経済は「景気循環の初期」にあるとの回答が49%に達し「景気後退期」との回答(37%)を7カ月ぶりに上回った。今後1年で世界経済が「力強さを増す」との回答から「弱含む」との回答を引いた値は84%と、2003年9月以来17年ぶりの高水準となった。
株式相場への楽観論も強まった。現状が「新たな強気相場の始まり」との回答は58%と、5月(25%)の2倍以上に上昇。株式保有を当初設定した配分を上回る「オーバーウエート」との回答から、下回る「アンダーウエート」との回答を引いた値は18%と前月(12%)から上昇した。ただ、保有資産に占める現金の比率は4.8%と前月(4.6%)から上昇し、過度に強気に傾いているわけではないようだ。
最も混み合った取引は「米ハイテク株の買い」が80%と過去最高となり、5カ月連続で首位を維持した。半面、前月に比べた投資配分の変化を聞いたところ「グロース(成長)株からバリュー(割安)株へのシフト」「大型株から小型株へのシフト」「日本」「資本財」が上位に並んだ。出遅れ株や景気敏感株に資金を一部移したことが浮き彫りになった。
■コロナ第2波がテールリスク
確率は低いが発生すると影響が大きいテールリスクを聞くと「コロナ感染の第2波」が引き続き最多だった。2位には「IT(情報技術)バブル(の崩壊)」が入り、8月の圏外から急浮上した。3位は「米大統領選」だった。
金利上昇を起こす要因では「有効なコロナワクチンの実用化」を挙げた投資家が41%で最も多く、2位は「インフレ」の37%だった。ワクチンの実用化の発表時期は21年1~3月期との予想が最も多かった。(NQNニューヨーク=川内資子)