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「バイデン政権」でむしろ強まる米中対立(市川眞一 政治と経済、市場を読む)

米国の大統領選挙で対中外交の議論が深まっていない。トランプ大統領は2016年の大統領選挙で対中貿易不均衡の是正を政策の柱に据えた。2018年7月にトランプ政権は第1弾の対中制裁関税を発動し、その後は第4弾まで措置を講じてきたが、昨年12月13日に通商交渉が決着し、追加対策は見送られている。

図表:米国の対中通商制裁措置

出所:各種報道などよりPAMJが作成

それでも今春以降に米中関係が急激に悪化したのは、2つの理由がある。1つ目は米国が中国の情報通信産業による技術開発に対し、非常に神経質になったことだ。2つ目は、中国の武漢市が発生源と見られる新型コロナウイルスが米国に飛び火したことである。

大統領選がせまると、トランプ大統領による対中批判のトーンは上がった。10月10日、ホワイトハウスのバルコニーから支持者に15分間のスピーチをした際も、トランプ大統領は「中国ウイルス」との表現を繰り返した。新型コロナへの対応で再選戦略に狂いが生じ、ウイルスの発生源である中国への強硬姿勢を示して選挙戦の打開を図ろうとしている。こうした大統領の姿勢は、米国政界で強まる中国脅威論とシンクロしている。少なくともテクノロジー分野において、中国の封じ込めに向けた米国の政治的潮流を反映している。

この状況を考慮すれば、ジョー・バイデン前副大統領が勝利しても、米国の対中政策の基本は変わらないと予想できる。米国では党派によらず、中国のIT覇権阻止は最優先課題の1つだ。ファーウェイなどIT関連企業への制裁措置は「バイデン政権」になっても続くだろう。

人権を重視する民主党では、中国による香港への締め付けやチベット自治区の問題、そして台湾の独立性維持に関し、中国との対立がさらに先鋭化する可能性がある。トランプ大統領は同盟国との関係を無視もしくは軽視してきたが、バイデン氏は対中政策で日本、韓国、ベトナム、インド、豪州など米国と利害が近い周辺国との関係を重視するだろう。

「バイデン大統領」の場合、米中関係で緊張が緩和するのは通商問題かもしれない。バイデン氏は、トランプ大統領が活用した関税による制裁を「古くさい手段」と強く批判してきた。関税を負担するのは輸出国ではなく、輸入国の事業者だ。高い関税を輸入品に課せば、結局、税金は米国の消費者が負担する。トランプ大統領は、対中輸入品の関税率引き上げでしばしば「中国に関税を払わせている」と有権者に説明しているが、完全な事実誤認だ。

過去を振り返っても関税の引き上げ競争は良い結果にならない。1929年10月の株価急落を受け、米国連邦議会はスムート・ホーリー関税法を成立させた。ハバート・フーバー大統領が署名して施行すると各国の関税率の引き上げ合戦が始まり、国際的に貿易取引が激減して世界恐慌が一段と深刻になった。バイデン氏にはこうした事例が念頭にあるのだろう。バイデン政権になれば、トランプ大統領が中国に課した第1弾から第4弾の通商政策について、早い段階で新たな通商交渉が開始され、見直しとなることも十分にあり得る。

つまり、トランプ大統領が再選した場合、通商問題が再び米中間の再重要課題に浮上する。バイデン氏が勝てば通商問題の優先順位は低下するが、IT覇権、人権、軍事力などを巡り、米国と中国の軋轢はむしろ強まると予想される。

 

ピクテ投信投資顧問シニア・フェロー 市川 眞一

クレディ・スイス証券でチーフ・ストラテジストとして活躍し、小泉内閣で構造改革特区初代評価委員、民主党政権で事業仕分け評価者などを歴任。政治、政策、外交からみたマーケット分析に定評がある。2019年にピクテ投信投資顧問に移籍し情報提供会社のストラテジック・アソシエイツ・ジャパンを立ち上げ。

著者名

ピクテ・ジャパン シニア・フェロー 市川眞一


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