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週間REITニュースまとめ 日銀は買入額を据え置き、「オフィス」「商業」が大幅安

来週(11月2日~)の上場REIT(不動産投資信託)市場を展望するために、QUICKが今週配信したREIT関連ニュースを振り返った。日銀は10月29日まで開いた金融政策決定会合で大規模な金融緩和策の維持を決定。REITや上場投資信託(ETF)などの買入額、新型コロナウイルスの感染拡大に対応した資金供給策を据え置いた。市場では2021年序盤に、日銀のREIT買い入れに関する議論が再燃するとの見方が出ている。来週に予定されているREITの決算発表はない。

前週の主要REIT指標の騰落率は以下となる。住宅・物流が堅調な一方、オフィスと商業は大きく下げた。

銘柄名 騰落率(%)
REIT指数 -3.08
REITオフィス -4.42
REIT住宅 0.67
REIT商業 -2.70
東証REIT物流フォーカス指数 0.28

10月の株主優待、利回り上位はジャスダック銘柄並ぶ(10/27)

10月優待銘柄の新型コロナウイルスによるマイナス影響からの株価の回復度合いを見ると、二極化の傾向が強い。飲食チェーンや旅行関連などを中心に株価の回復が遅れている。

新型コロナによる株価急落前の2月21日との比較では(中略)、オフィス系REIT(不動産投資信託)のいちごオフィスリート投資法人(8975)や総合型REITの投資法人みらい(3476)も振るわない。いずれも年ベースの(配当&優待の合計)利回りは5~6%強の高水準に切り上がっているものの、分配金の水準が保たれるかなど不透明感を意識する向きが多いようだ。長い目で見れば投資妙味は増しているとはいえ、新型コロナ前とは収益環境が変わったり、収益水準を取り戻すのに時間がかかったりする企業もあることは引き続き頭の隅に置くべきだろう。

■J-REIT、「今は我慢の時期」(10/29) 

野村証券は28日付のJ-REIT(日本の上場不動産投資信託)リポートで、「不動産賃貸市況は景気に遅行して動く上、しばらくの間は緩やかであっても一方向に動き続ける」」との性質を紹介したうえで、「多くの市場参加者は現在、コロナ禍での景気悪化や企業と個人の行動様式の変化が今後不動産賃貸市況にどう影響し得るかを見極めようとしている」と指摘。「不動産賃貸市況の性質上今後短期間で大方の見方を好転させる様な材料浮上しにくいとの判断からも、不動産関連セクターへの投資を手控えている」との見方を示した。

また、米国REIT指数も8~27日までの期間中に7.2%安と、同期間のダウ工業株30種平均の3.4%安と比べて低調な動きである点を踏まえ、「新型コロナの感染拡大以降、不動産関連セクターが株式相場全体よりも低調な動きとなっているのは各国で見られる現象」であるとも指摘している。

今後の展望として、「最近では当期における新型コロナの感染拡大を想定した上で従来よりも慎重に見える業績予想を公表するJ-REITも見られる」とし、「慎重な業績予想の内容が最近では結果的に市場参加者に幾ばくか不安をもたらし、J-REITに対する前向きな投資需要が生まれにくくなっている一因になっている」可能性を指摘。事業会社の決算発表シーズンには多くの市場参加者の関心がそちらに向かうこともあり、「今はJ-REIT相場にとって我慢の時期と言える」との見方が示されている。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)

■J-REIT、日銀の上限保有比率などの議論が21年序盤にも浮上する可能性(10/30)

日銀は29日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めた。日銀は20年初から10月29日までに上場投信宅(ETF)を6.67兆円、J-REIT(不動産投資信託)を1015億円買入れるのにとどめている。3月16日の金融政策決定会合で、年間買入額の目安を原則としてそれぞれ約6兆円、約900億円としつつ年間買入額の上限をそれぞれ約12兆円、約1800億円に新たに設定してしていた。

野村証券は29日付リポートで「日銀ETFとJ-REITの買入れペースを、為替や株式相場の動きから決める傾向が過去から見られる」と指摘。日銀は3月の株式相場大幅下落時にETFとJ-REITの高水準の年間買入額上限を設定したものの、「為替と株式相場の落ち着きを受けて買入れペースを抑えたと考えられる」とした。直近の「営業毎旬報告」によれば、日銀10月20日時点で買入れ済みのETFを34.6兆円、J-REITを6341億円保有している。これらは同日時点の東証1部株式市場、J-REIT市場の時価総額のそれぞれ5.6%、4.8%に相当するという。すでにJ-REIT市場では日銀の保有比率が上限の10%に近い銘柄も複数見られることから、「日銀は今後もリスク性資産の買入れペースを抑えながらも、J-REITについて上限保有比率の引き上げや、REIT-ETFを通じた買入れへの変更の議論が21年序盤にも浮上する可能性があると考えられる」と指摘した。(QUICK Market Eyes 川口究)

■REIT決算&開示情報

10/26 <決算>JHR (8985) 増額修正 分配金(199円←126円 2020/12)

著者名

QUICK Market Eyes 川口 究

著者名

QUICK Market Eyes 大野 弘貴

著者名

QUICK Market Eyes 弓 ちあき


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