【QUICK Market Eyes 片平 正二】米連邦準備理事会(FRB)が4~5日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決めた。米大統領選が異例の接戦となり開票作業が継続している最中のFOMC。Fedウォッチャーたちはその先の金融政策をどう見ているのか。
■平均償還期間を延長することは今後の選択肢=JPモルガン
今回のFOMCに関して、JPモルガンは5日付のリポートで「今回の結果は問題ありませんでした。金融政策に変更はなく、会合後の声明は9月の前回会合後に発表された声明と基本的に変わっていない。もしFOMCがニュース・サイクルに巻き込まれるのを避けようとしていたなら彼らは成功した」と指摘し、米大統領選挙の結果が判明しない中で市場の混乱を避けた点では好印象とみていた。
またリポートでは、会合後のパウエル議長の記者会見で量的緩和(QE)のパラメータ(規模、構成、期間など)が繰り返し取り上げられたことに着目。「パラメータを調整すること、特に米国債の平均償還期間を延長することは経済見通しが悪化した場合の選択肢となると結論付けられる」と指摘。経済が予想通りに回復した場合には不明としながら、「感謝祭の前日に発表される議事要旨(ミニッツ)でこのトピックがもっと多く書かれると思われる」とみていた。
■経済が急速に悪化しない限りB/Sの変更は来年か=ノムラ
ノムラ・セキュリティーズは5日付のリポートで「サプライズはなかった。記者会見でパウエル議長は量的緩和(QE)での資産買入について削減を検討していないことを明確にした」と指摘した。その上でパウエル議長が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる景気後退と回復の間、継続的な財政支援が経済に大きなプラスの影響を与えてきたことを再度指摘したことに着目し、「適切な時期に、少なくとももう少し財政支援が得られれば、より力強い回復が得られるリスクを強調した」とし、パウエル議長が財政政策の必要性を訴えたことにも関心を寄せていた。
その上で「全体的に見て、FRBのバランスシート(B/S)政策の変更は向こう数週間で経済見通しが急激に悪化しない限り、2021年まで待たなければならない可能性がある」と指摘。またパウエル議長が四半期経済見通し(SEP)に関連して、これまで議事録に記載されていたリスク判断のバランスや2つの新しいグラフを含む追加的な情報を12月FOMCから公表し始めると述べたことに関しては「かなりの量の新しい情報を追加することはなさそうだ」ともみていた。