SDGsの今を知る VOL.8 クラウドクレジット編集部
SDGsのゴール7として、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が掲げられています。
2030年までに、1)安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する、2)世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる、3)世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させることが目標として掲げられています。
7.1 |
2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。 |
7.2 |
2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 |
7.3 |
2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。 |
7.a |
2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率、および先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究および技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 |
7.b |
2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国および小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。 |
(外務省HPの情報を元にクラウドクレジット編集部が作成 引用)
増えるエネルギー需要
私たちが生産活動をし、日々の生活を送るためには、エネルギーが必要となります。世界の人口は2019年の77億人から2030年には10%増加し、85億人(10%増)になると考えられています(国連経済社会局人口部 「世界人口推計2019」参照)。世界の人口が拡大する中、世界のエネルギー需要も増え続けています。
現在エネルギーは、化石燃料(石炭・石油・天然ガス等)、原子力、再生可能エネルギーにより生産されています。このうち、化石燃料は有限であり、産出地に偏りがあること、燃焼により二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)などの有害物質を排出すること、原子力は安全性の問題があること等を考慮すると、太陽光や水力、風力、地熱といった自然から得られる無限のエネルギーであり、有害物質の排出量がない、或いは少ないクリーンなエネルギー源である再生可能エネルギーの更なる活用を進め、世界中のすべての人々が、クリーンで安価なエネルギーにいつでもアクセスできることが出来る社会を構築することが非常に重要になります。
電気を利用できない
国際的な自然エネルギー政策ネットワーク組織(Renewable Energy Policy Network for the 21st Century :REN)によれば、主に未電化地域での太陽光発電システム導入等により、世界人口のうち、電力にアクセスできない人の割合は、2010年の36%から、2018年には14%(約8.6億人)に減少しました(REN 「自然エネルギー世界白書 2020」参照)。
しかしながら、2020年10月、国際エネルギー機関(IEA)は、パンデミックによる貧困レベルの上昇により、2020年、サハラ以南のアフリカ諸国で電気を利用できない人々は約5.9億人と、昨年から1500万人増加したと考えられています。その他、世界全体で、1億人以上の人々が、それまで利用できていた電気が利用出来なくなり、家庭で利用する料理や家屋用のエネルギーについて、環境負荷が高く、また、室内の空気汚染による健康状態の悪化を引き起こしやすい燃料(炭・灯油・薪など)を利用せざるを得ない状況になっているのではと推測されています(IEA 「World Energy Outlook 2020」 参照)。
再生可能エネルギーのコスト低下
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、再生可能エネルギー分野での技術革新等により、2019年の太陽光の発電コストは2010年に比べ82%、陸上風力発電は39%と大幅に低下し、再生可能エネルギーの発電コストが化石燃料と比べても遜色ない水準になっており、今後も更なるコストの低下が想定されていること、水力発電については、すでに化石燃料と比べ十分な価格競争力があるとのことです(IRENA, 「Renewable power generation costs in 2019」に関る重要所見 参照)。
今後、再生可能エネルギーの利用が進むことで、更なる技術革新が進められ、環境配慮だけではなく、多くの人がより安く電力を利用できるようになること、また、エネルギーの消費者の近くに小規模発電施設を分散設置することが出来るようになることで、エネルギーの安定供給や、エネルギーへのアクセスがより容易になり、人々の生活がより良くなることを期待しています。
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写真=Linh Pham/Getty Images
クラウドクレジット株式会社 :「日本の個人投資家と世界の信用市場をつなぐ」をコーポレートミッションとして掲げ、日本の個人投資家から集めた資金を海外の事業者に融資する貸付型クラウドファンディングを展開。新興国でのインフラ関連案件も多く、現地のマクロ・ミクロ経済動向などに詳しい。累計出資金額約322億円、運用残高約159億円、ユーザー登録数約4万9000人(2020年11月9日時点)