今回は10月3日(土)に開催された「SBI Art Auction Live Stream」をレポートする。Live Streamは、会場を使用しないライブ配信型のオークションで、同形式の開催は8月に続き2回目となる。PCやスマホの画面越しにオンラインもしくは電話でオークションに参加ができる気軽さで、前回のオークションでの全体落札率は、94.1%と好記録を残している。
■最高落札額は予想の約50倍
本セールでは、国内外作家101名、346作品がセールにかけられた。出来高は、全体落札総額2億3104万750円(落札手数料込み・以下同)、全体落札率は92.8%であり、前回同様90%越えの活況なセールとなった。
当日のアクセス数が最も多かった作家は、TIDE(LOT.039-041)、小松美羽(LOT.068-070)、Mr. Doodle (LOT.047-049)だった。次いで、KYNE、MADSAKI、山口歴、Backside works.、井田幸昌、Kaws、ロッカクアヤコ(版画)と続く。いずれも活発な競りが行われ、落札予想価格上限を超えた金額での落札となっている。
最高額で落札されたのは、TIDE(IDETATSUHIRO)のLOT.040《TWO OF US》(F100号、アクリル・キャンヴァス)。ネコをモチーフとしたキャラクターのモノクロ作品(CATシリーズ)で、落札予想価格100~150万円のところ、5060万円で落札された。TIDEのCATシリーズは、LOT.041《STRANGER IN BED》(F30号、アクリル・キャンヴァス)、LOT.039《ANGRY CAT》(45×45㎝、シルクスクリーン)と、連続で出品されたが、全て落札予想価格上限を大幅に上回る金額で落札され、セールは大いに盛り上がった。
TIDEは、以前IDETATSUHIROの名前で活動を行っていたが、TIDE(タイド)と名義を変えている。オークション開催日前日からは、名義変更後初となる個展を神宮前で開催していた。作品に対しての注目度も高く、その勢いはセールにも反映される結果となった。
■STIK、6本のラインと2つの点で構成された人物像(棒人間)
今回は、ロンドン生まれのストリート・グラフィティアーティストSTIK(スティック、1979-)にスポットを当てレポートする。
スティックは、6本のラインと2つの点だけで構成された人物像(棒人間)を代表的なキャラクターとして描き、ロンドンの街の壁やビルに多くの作品を残している。性別や人種、年齢の概念を持たないその人物像は、メッセージを含み持ち、鑑賞者の心を惹きつける。
本セールでは、赤、青、黄色、オレンジを背景に棒人間が描かれた作品LOT.192《Sassy》(各55×20.5cm、オフセット印刷)が出品され、落札予想価格15~25万円のところ、39万1000円で落札された。落札予想価格上限を超える好結果となった。
同作家の同一作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標注*を見てみると、2017年にオークション市場に登場して以来、ほとんどの作品が落札予想価格上限より高い価格で落札され、落札価格の平均も緩やかなペースで右肩上がりに推移している。落札中央値の推移を示す落札価格による時価指数でも同様の動きを見せている。スティックの作品の中でも、手堅い作品銘柄といえるだろう。更なる上昇をみせるのか、動向を注視していきたい。
注*:ACF美術品パフォーマンス指標・時価指数ともに、該当作品は2017年からオークション市場に登場している為、2017年~2020年のデータをグラフ化している。
(月1回配信します)
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※次回のSBIアートオークション開催予定は1月29日、30日