【QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎】チェンジ(3962)が11月13日にオンラインで開いた2020年9月期連結決算の説明会では「ふるさと納税」、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」、電子申請システムや専用チャットなど自治体向けデジタル基盤「LoGoシリーズ」などが焦点になった。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
福留大士社長は説明会の冒頭で「人と技術の掛け算で『生産性をチェンジする』」と同社のビジョンを紹介し、16年9月の東証マザーズ上場以来、着実に成長軌道を維持してきたと振り返った。20年9月期は売上高が前期比66%増の116億円、営業利益は同3.4倍の36億円といずれも過去最高で、8月に上方修正した業績の見通しを上回った。
ふるさと納税サイト運営などを手掛ける「パブリテック事業」では、新型コロナウイルス後ならではのあらたな助け合いの形により、サイトの利用が活発になった。需要が蒸発した地場産品を返礼品として応援するプロジェクトや医療支援、地域サービスへのクラウドファンディングとしての利用も多かった。
コロナ禍で行政の業務負担が増すとLogoシリーズが急速に浸透した。LoGoチャットのアカウント数は10月末時点で27万4192となり、549の自治体が採用している。福留社長は「単なるふるさと納税の会社から、一気に自治体のDXを支援する会社と位置づけを大きく転換できた」と強調した。
企業のDXを支援する「NEW-ITトランスフォーメーション事業」では、コロナ禍で高まったDXの需要を追い風に、デジタル人材の育成やテレワークの環境整備などが大きく伸びた。福留社長は「DXと地域創生、地方というキーワードが、ちょうど掛け算になって時代が要請するテーマとして急浮上してきたのが20年の9月期だった」と振り返った。
アナリストやマスコミの質問ではLoGoシリーズの今後の見通しなどに関心が集まった。福留社長は、来年4月以降の自治体の予算取りにむけてどれだけの有料アカウントを獲得できるかノウハウをためている段階だと述べた。今期の業績は前期比で35%以上の増収、30%以上の営業増益を見込むが、この計画には織り込んでいないという。今後はショートメッセージ(SMS)のLoGoSMSのような自治体と住民の新たなコミュニケーションサービスに事業を広げていく。Zホールディングス(4689)傘下のヤフーが21年3月期で撤退する公金決済のサービスにも参入し、自治体の業務課題を解決していくことが中期経営計画の達成に貢献すると話した。