【QUICK Market Eyes 本吉亮】足元で自動車販売の回復が顕著だ。消費増税に加えて、新型コロナウイルスの影響で長らく前年割れが続いていたものの、直近はプラス基調に回復しつつある。自動車各社は期初段階で厳しい業績見通しを示していたが、足元の生産および販売回復を受けて業績予想の引き上げが相次いでいる。QUICKコンセンサスDIでも、輸送用機器のDI改善は目を見張るものがあり注目されよう。
■自動車販売数が2カ月連続の増加
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が12月1日発表した11月の国内新車販売統計によると、総台数は前年同月比6.7%増の41万1601台となった。自動車販売は前年10月の消費増税の影響がくするぶなか、今年に入り新型コロナが直撃。緊急事態宣言が発令された4月は28.6%減、5月は44.9%減と、東日本大震災直後に匹敵する落ち込みを記録した。ただ、緊急事態宣言明けの6月以降はマイナス幅が縮小傾向となり、10月には10月に1年1カ月ぶりのプラスに転換。11月は2カ月連続の増加となるなど、回復基調が鮮明となりつつある。
※TOPIXが年初来安値を付けた3月16日を100として業種別TOPIX「輸送用機器」と日経平均株価、TOPIXを指数化
トヨタ(7203)の10月世界生産台数は前年同月比9%増の84万5000台で2カ月連続の過去最高を更新し、世界販売も8%増の85万7000台と好調だった。中部経済新聞によれば、トヨタは向こう3カ月(2020年12月~21年2月)の車両生産計画を策定し、世界生産台数を前年同期比12.0%増の224万台程度に設定したもよう。新型コロナ禍からの市場回復や積極的な新車投入で国内外の需要が底堅く推移しており、海外生産に至っては米中を中心に前年同期比2割弱増の高い伸びを見込んでいる。
自動車メーカー各社の2020年9月中間決算は、新型コロナ感染拡大の影響で全社が減収減益となった。ただ、中国や米国などで新車販売が急回復していることなどを背景に、トヨタを筆頭に、ホンダ(7267)、日産(7201)、スバル(7270)などが通期予想を相次いで上方修正。この影響は自動車部品メーカーなどにも波及し、輸送用機器セクターで業績上方修正が相次いでいる。足元の販売回復を勘案すると、3Q決算時に再度増額修正の可能性も考えられそうだ。
【今期業績予想を上方修正した輸送用機器セクターの銘柄】
コード | 銘柄名 | 今期営業利益予想 (百万円) |
期初比 (百万円) |
7203 | トヨタ | 1,300,000 | +800,000 |
7267 | ホンダ | 420,000 | +220,000 |
7201 | 日産自 | -340,000 | +130,000 |
7270 | SUBARU | 110,000 | +30,000 |
6201 | 豊田織 | 85,000 | +25,000 |
3116 | トヨタ紡織 | 36,000 | +23,000 |
7202 | いすゞ | 70,000 | +20,000 |
7240 | NOK | -10,800 | +12,000 |
7012 | 川重 | -20,000 | +10,000 |
7309 | シマノ | 77,000 | +8,300 |
7282 | 豊田合 | 26,000 | +8,000 |
6995 | 東海理 | 4,500 | +5,500 |
7250 | 太平洋工 | 6,000 | +4,000 |
7278 | エクセディ | 5,500 | +4,000 |
7313 | TSテック | 29,000 | +3,000 |
7220 | 武蔵精密 | 1,500 | +2,400 |
7294 | ヨロズ | -2,700 | +2,000 |
7296 | FCC | 5,000 | +2,000 |
7102 | 日車両 | 6,000 | +1,900 |
7222 | 産車体 | -2,000 | +1,700 |
7231 | トピー | -2,500 | +1,500 |
7241 | フタバ | 2,300 | +1,300 |
7205 | 日野自 | 3,000 | +1,000 |
6584 | 三桜工 | 700 | +800 |
7299 | フジオーゼ | -320 | +780 |
7226 | 極東開発 | 6,000 | +600 |
7264 | MURO | 489 | +559 |
3526 | 芦森工 | -600 | +500 |
7217 | テイン | 771 | +381 |
7228 | デイトナ | 1,067 | +376 |
7551 | ウェッズ | 870 | +70 |
6016 | ジャパンエン | 260 | +28 |
■一気に高まった「輸送用機器」の存在感
主要企業の業績予想の変化を示すQUICKコンセンサスDIの変化も興味深い。金融を含む全産業ベース(11月末時点)でプラス21と、前月のマイナス2から23ポイント改善。5カ月連続の改善で2018年8月以来のプラス圏に浮上した。また、製造業DIは前月から33ポイント改善のプラス27と、18年8月以来(2年3カ月ぶり)のプラスとなった。特に、輸送用機械はプラス79と一気に100ポイント改善し、17年2月(プラス83)以来の高水準を記録したことが特筆に値する。輸送用機器は、これまで全産業および製造業を下回る水準だったが、直近の改善で一気にこれらをアウトパフォーム。市場で存在感が一気に高まったとみられ、しばらく目が離せない。
<金融用語>
QUICKコンセンサスDIとは
QUICKコンセンサスDIとは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。