フィデリティ投信が運用する「フィデリティ・日本成長株・ファンド」の純資産総額(残高)がじわじわ増加傾向にある。22日の残高は4386億円で、レオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」(4382億円)を抜き、主に国内株式へ投資する国内公募追加型株式投資信託(ETFを除く)で最大規模となった。残高逆転は2017年12月12日以来ほぼ3年ぶりとなる。
■好成績で運用益が増加、資金流出も
「フィデリティ・日本成長株」は1998年4月の設定から運用実績22年を迎えた長寿ファンドで、大手証券や銀行などが幅広く販売している。22日時点の年初来リターンは16.2%のプラス。年初から257億円(推計値)の資金が流出しているが、好成績で運用益が増え残高が増加している。
同ファンドは国内の成長企業を選定し、利益の成長性などを鑑みて妥当な株価水準と判断した株式に投資する。最新の月次レポートによると、10月30日時点で9割超が東証一部上場企業への投資だった。組み入れ銘柄数は256で、1位はファクトリーオートメーション(FA)向け部品を手掛けるミスミグループ本社(9962)、2位はFA機器向けセンサー大手のキーエンス(6861)、3位は産業用ボイラーメーカーの三浦工業(6005)だった。
■「ひふみプラス」は資金流出が響く
国内株式型(QUICK独自の分類)で2位に後退した「ひふみプラス」も、22日時点の年初来リターンは16.2%のプラス。しかし、資金流出が続いていることで残高が減少している。年初からの資金流出額は同日時点で2000億円(推計値)を超えた。
同ファンドは大部分を国内株式で運用しているが、一部に海外株式も組み入れている。11月末時点の月次レポートによると、資産配分比率は国内株式が86.40%で、海外株式が11.28%。組み入れ銘柄数は261で、組み入れ1位は国内リース大手の東京センチュリー(8439)、2位はコンクリート補修のショーボンドホールディングス(1414)、3位は世界的電機メーカーのソニー(6758)だった。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)