【日経QUICKニュース(NQN)大沢一将】12日の東京株式市場で良品計画(7453)株が大幅に上昇、株価は新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月の水準を上回り、19年4月以来、約1年9カ月ぶりの高値を付けた。8日発表の連結決算が市場予想を大幅に上回ったことが好感された。コロナ禍で強気とみられていた会社計画だが、ここに来て見方が変わり始めている。
■現実味増した会社計画
良品計画が8日に発表した20年9~11月期連結決算は市場の予想を上回る内容だった。純利益が122億円と、市場予想の平均であるQUICKコンセンサスの81億円(20年12月23日時点、5社)を約5割上回った。
21年8月期通期の会社計画の純利益は過去最高水準となる348億円で据え置いた。決算発表前のQUICKコンセンサスは267億円(5日時点、11社)と低く、コロナ禍もあり会社予想は「過度に楽観的」「強気過ぎる」との声も多かった。ただ、今回の決算を経て「会社計画の現実味は増した」(UBS証券の守屋のぞみアナリスト)と前向きな見方が出てきた。
※良品計画は今期の純利益予想を据え置いた(今期純利益の会社予想)
12日の良品計画株は前週末比で一時14%上昇した。想定外の好業績に市場は素直に買いで反応した。
「コロナ禍で外出が制限されるなか、家庭での普段の生活をより良くしたいという消費者が多かったのだろう」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役)。20年9~11月期の国内事業の営業利益は前年同期比27%増の83億円と好調に推移。期間限定の値下げ販売をやめたことで営業利益率は11.2%と前年同期比2.3ポイント改善した。商品価格を見直し、「いつ来ても日用品を求めやすい」(良品計画の広報担当者)売り場にしたことが功を奏したという。
■短い購買サイクル
衣食住の分野で幅広い品ぞろえを持つ同社。今のけん引役は食品だ。20年9~11月期の食品の既存店売上高は前年同期比55.7%増と大幅に増えた。カレーや「ごはんにかける」シリーズなどのレトルト食品が好調。新型コロナによる巣ごもり特需もあろうが、より長期でみても国内事業における食品の売上高構成比は9~11月期で18年の8.7%から19年の10.1%、20年の16.1%と上昇基調だ。18年3月には堺市に初の食をメインとした大型店をオープン。20年12月にオープンしたばかりの東京有明店(東京都江東区)も、3階のうち1階部分をほぼすべて食品関連にあてた。食への継続的な取り組みが、コロナ禍で花開きつつあると見ることもできそうだ。
「衣料や生活雑貨と比べ、購買サイクルが短い食品に力を入れたことが来店頻度の向上につながっている」(良品計画の広報担当者)。コロナ禍にもかかわらず9~11月期の国内直営既存店の客数は前年同期比9.2%増加した。12月は13.2%増と足元も好調だ。
20年4~5月の緊急事態宣言の際は、営業時間の短縮などで同社の業績は大幅に落ち込んだ。新型コロナウイルスの感染者数の増加が続くなか、先行きは予断を許さない。ただ同社は厳しい小売業の意外な勝者としての認知が進みつつあり、株価は底堅く推移しそうだ。
無印良品の食品や生活雑貨の月次は好調です。おうち時間をより良く、楽しく暮らしたい人が増えて、無印良品の食品や生活雑貨を買い求めているのかなと思いますね。また、SDGsや環境問題などが話題になる中、無印良品の自然体なブランドイメージが注目されやすいのかもしれません。