12月のバルチック・ドライ指数BDIは前月比+5.4%の1244。船型別インデックスを見ると、ケープサイズ(BCI)が1587(前月比▲0.1%)と概ね横這い、パナマックス(BPI)は1393(同+8.5%)と4カ月ぶりに反発、ハンディマックス(BSI)も1033(同+11.1%)と反発して2020年では初めて1000ポイントの大台を回復。ハンディサイズ(BHSI)は670(同+11.7%)と7カ月続伸。
※バルチックドライ指数の推移
■上・下半期で明暗分かれた
2020年における各指標の年平均を見ると、まずBDIが1066と前年比▲21.2%で、指数を構成するケープサイズ・パナマックス・ハンディマックスの各レートが総じて低調だったことを窺わせる。実際、各船型の主要航路レートを年間平均してみると、ケープサイズ=US$13,070/DAY(前年比▲27.5%)、パナマックス=US$9,923/DAY(同▲20.2%)、ハンディマックス=US$8,189/DAY(同▲17.7%)、ハンディサイズ=US$8,003/DAY(同▲13.8%)と、いずれの船型もマイナスとなったが、特にケープサイズ・パナマックスは前年から▲2~3割低い水準に留まっている。
2020年は上半期(1~6月)と下半期(7~12月)で市況の明暗が大きく分かれる格好となった。例年、前半よりも後半の方が堅調な市況展開となるパターンが多いが、今年はその傾向がとりわけ顕著に表れたといえる。
20年上半期、特に2~5月は南米の天候不良や新型コロナウイルスによる世界的なロックダウンの動きが影響して船腹需要が急激に縮小、それに伴いフリー船が急増すると大型船・小型船問わず市況は過去最悪といわれた2016年Q1期の水準まで悪化。
しかし、下半期に入ると、まずコロナ禍からいち早く経済再開へ舵を切った中国の牽引によって荷動きが徐々に活発化、また、他の国でも順次封鎖や移動制限を緩和する動きが拡大したことでスポット市況も夏には低迷圏を脱するに至った。
秋になるとインドも経済回復が本格化、同国の鉄鋼需要・電力需要・石炭需要が増勢へ転じ、太平洋市況にとっては貴重な下支え要因となった。今年はコロナ禍や政策的要因を背景に、石炭など一部太宗貨物の荷動きが前年と比べ低調となったが、一方で、年後半からの急な荷動き増加とコロナ禍での荷役効率低下によってドライバルクの要衝・中国で滞船が記録的水準に膨らむと、需要期の中でフリー船がタイトになり市況も底堅く推移。昨年はクリスマス前後を境にフリー船の増加傾向が際立ったが、今年は足元時点で依然タイトな情勢が続いており年内の駆け込み需要が一巡した後も下げ足は小幅に留まっている。
■粗鋼生産量、欧州が漸く前年比プラスに
世界鉄鋼協会(WSA)によると、20年11月における加盟64カ国の粗鋼生産量は前年同月比+6.6%増の1億5,826万トン。ただし、前月比では▲2.2%減少となった。
主要地域別では、アジアが同+8.3%増の1億1,641万トン、欧州(28カ国)が同+5.5%増の1,281万トン、北米が同▲10.8%減の850万トン、CIS(ロシアなど6カ国)が同+7.0%増の824万トン、中東が同+7.6%増の362万トン、南米が同+8.3%増の366万トン。欧州が漸く前年比プラスに転じたが、北米は未だ前年水準に届いておらず低調が続いている。
主要国別で見ると、アジアでは中国が同+8.0%増の8,776万トン、日本が同▲5.9%減の726万トン、インドが同+3.5%増の925万トン、韓国が同▲2.4%減の576万トン、ベトナムが同+166.7%増の410万トン、台湾が同▲5.2%減の157万トン。中国が相変わらず牽引役を担っている一方、インドも増勢を維持しており、また、ベトナムの伸び率もさらに鋭くなっておりまもなく韓国の生産量に迫りそうな勢いを示している。日本・韓国・台湾は未だ前年比マイナスの水準が継続。
■鉄鉱石価格の高騰
12月19日、中国でMysteel年次サミットが開かれ、その中で中国鋼鉄工業協会(CISA)の駱鉄軍副会長が直近の鉄鉱石価格が予想の範囲を超えて急騰していることを受けて産業のサプライチェーンへの影響を懸念していると表明。駱副会長によると、12月以降における鉄鉱石価格急騰は、需給の原則から逸脱したトレーダーによる入札などが要因となり市場の非常な緊張に繋がっているとして、規制当局に早期介入を要請しているとのこと。
中国鉄鉱石価格は指標のTSI62%価格が足元21日時点で176.9ドル/トンと2011年9月以来の高水準まで高騰。20年4月から総じて強含み基調で推移してきた同価格だが、11月から上げ足を強めると、12月頭にはブラジル資源大手ヴァーレが来年の生産見通し引き下げを発表し、西豪州でもサイクロン警報が出されたことでさらに騰勢が鮮明となり、2カ月で実に60ドル近く値上がりしている。
<金融用語>
バルチック・ドライ指数とは
バルチック・ドライ指数とは、正式名称は「The Baltic Dry Index=通称BDI」で、英国のバルチック海運取引所が算出・公表する指数。世界各国の海運会社やブローカーから、鉄鉱石・石炭・穀物などの乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を収集し、一日1回算出している。1985年1月4日を1000として算定、国際的な海上運賃の指標となっている。株式市場でも、海運会社、特に不定期船を主力とする会社との株価連動性が高いとされる。