QUICK資産運用研究所が2020年11月に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」。5回目はESG(環境・社会・企業統治)投資についてまとめた。
■ESG投資、「関心ある」は2割に届かず
「ESG投資に関心がありますか」との質問では、「関心がある」と「どちらかと言うと関心がある」の回答を合わせて17.6%にとどまった。最も多かったのは「関心がない」の60.4%、次いで「どちらかと言うと関心がない」が22.0%で、8割超はESG投資に関心がないという結果になった。
ESG投資は環境(Environment)や社会(Social)、企業統治(Governance)に関する課題への取り組みを評価して投資先を選ぶ投資手法。欧州を中心に広がり、日本でも話題になりつつあるが、まだ盛り上がりに欠けることが調査結果に表れた。年代別に見ると、若年層のほうが関心を持つ人の割合が高かった。
ESG投資に積極的になれない理由では、「ESG投資についてよく理解していない」の回答が最も多く、「ESG投資の実績が分からないので様子を見ている」、「投資したい商品がない」が続いた。
■ESG投資のきっかけ「運用成績が上がると思った」
ESG投資をしたことがある人(回答者596人)にきっかけを聞いたところ、最も多かったのは「運用成績が上がると思った」の36.1%だった。「ニュースや新聞などで話題になり、関心を持った」が29.2%、「ESG投資が今後さらに広まると思った」が23.3%と続いた。
これらの回答比率は、「社会貢献をしたいと思った」の19.6%よりも高かった。投資を通じてより良い社会を実現しようというESG投資の考え方への共感だけでなく、世の中の流れに乗りつつ、しっかりとリターンを追求したい個人投資家の意向が表れた結果となった。
■ESG投資、「多少のリターンの低下は許容」
ESG投資をしたことがある人(回答者596人)に、運用成績が振るわなかった場合にどのような行動を取るか聞いたところ、最も多かった回答は「多少のリターンの低下は許容するが、追加投資はしないようにする」(46.5%)だった。
次いで「多少のリターンの低下は許容して投資を続ける」と回答した人の割合が30.0%、「他のファンドに比べてリターンが見劣りするなら、売却して他のファンドに切り替える」が20.8%となり、ESG投資において何を重視するかで回答が分かれた。
ESG関連の投資商品は日本でも増えてきているが、まだ運用期間が短く、どれくらいのリターンが期待できるか未知数だ。今後の普及にはESG投資の理念が広く共有されることに加え、個人投資家が許容できる範囲で運用成績を上げていく工夫が必要になるだろう。
<調査概要>
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調査期間 2020年11月27日(金)~30日(月)
調査対象 全国の20~74歳の個人
国勢調査の結果に準じて性別×年代別×地域別(8区分)の構成比率を割付け
回答者数 5075人
調査方法 インターネット調査
調査会社 日経リサーチ
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=続く
※「個人の資産形成に関する意識調査」を引用する場合、出所を「QUICK資産運用研究所」と明示してください。
(QUICK資産運用研究所)