QUICK資産運用研究所が2020年11月に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」。最終回の6回目は投資行動や利用したい金融商品などについてまとめた。
■損失でも「このまま運用」、4割超に
投資した100万円が3カ月で70万円になってしまった場合にどうするか聞いたところ、最も多かったのは「このまま運用を続ける」(42.9%)との回答だった。「全額または一部を解約して預金に戻す」(35.0%)が続いた。
この質問への答えは、投資経験によって大きく差が出る。投資経験がない人は、51.2%が「全額または一部を解約して預金に戻す」と回答したのに対し、ベテラン(投資経験10年以上)では5.9%にとどまった。投資経験が豊富な人ほど、損失が出た場合でも投資を継続する傾向があることがわかった。
逆に「追加で投資する」と回答した割合はベテランが最も多い17.7%。投資経験年数が長くなるにつれて増加傾向の結果となった。
■「損失限定型」の金融商品、根強い人気
どのような金融商品を利用したいか聞いたところ、「収益性はどんなに低くても、元本割れの可能性が絶対にない商品」を選んだ人が43.7%を占めた。過去4回の調査結果と比べて最も高い。「収益性はある程度低くても、元本割れの可能性が少ない商品」(32.2%)と合わせると、回答者の7割超は元本割れのリスクが小さい商品に投資したいという結果となった。
2020年春のコロナショックでは、「損失限定型」をうたう投資信託が償還に追い込まれたり、相場が戻ってもリターンが上がらなかったりしたケースがあり、投資で相応のリスクを負わなければリターンを得られないという「教訓」を残した。それでも今のところ、個人投資家が「元本保証」へのこだわりを捨て去るきっかけにはならなかったようだ。
投資経験年数別で比較してみると、投資経験がない人や浅い人ほど「元本割れの可能性が絶対にない商品」を選ぶ割合が年々増えてきている。
■証券会社を「信頼」、2割以下 大手銀は4割弱
金融機関についてどう思うかを業態別に聞いたところ、証券会社(対面型)は「とても信頼している」と「まあまあ信頼している」の合計が18.1%と2割を下回った。2019年の前回調査(17.7%)と比べやや増えたものの、大手銀行(メガバンクや信託銀行など)の37.2%や地域金融機関(地方銀行や信金、JAバンクなど)の35.4%よりも信頼度は低かった。
郵便局(ゆうちょ銀行・かんぽ生命)は「信頼している」の合計が30.6%となり、前回の32.9%から減少した。投資信託や保険商品の不適切な販売問題が19年に発覚したが、それほど大きく落ち込んではいない。新型コロナウイルス感染が広がるなかで新規口座開設数や株式などの売買代金が大きく伸びたネット証券は、前回の16.4%から17.7%へと小幅に増えた。
金融機関全般に信頼できない理由としては、「自分にとって不利な提案をされるイメージがあるから」や「頼んでもないのに投資商品を勧めてくるから」という回答が多かった。
<調査概要>
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調査期間 2020年11月27日(金)~30日(月)
調査対象 全国の20~74歳の個人
国勢調査の結果に準じて性別×年代別×地域別(8区分)の構成比率を割付け
回答者数 5075人
調査方法 インターネット調査
調査会社 日経リサーチ
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=おわり ※「個人の資産形成に関する意識調査」を引用する場合、出所を「QUICK資産運用研究所」と明示してください。 (QUICK資産運用研究所)