【NQNニューヨーク 横内理恵】今週(2月22~26日)の米株式相場は方向感を探ってもみ合う展開となりそうだ。米国の景気回復期待や金融緩和の長期化観測が引き続き相場を下支えする。半面、米長期金利の上昇に歯止めがかからないようなら、市場心理を冷やしそうだ。
■景気敏感株の買い続く
前週のダウ工業株30種平均は3週続けて上昇し、週間では35ドル(0.1%)高だった。大型の追加経済対策や新型コロナウイルスワクチン普及が米景気回復を後押しするとの見方が相場を支えた。半面、米長期金利が上昇し、割高感が意識された高PER(株価収益率)のハイテク株に売りが出て相場の上値は重かった。
景気敏感株への物色は続きそうだ。米政府の追加経済対策の協議が進展すれば、好材料と受け止められる。米与党・民主党のペロシ下院議長はバイデン大統領が掲げる大型の対策を2月中に下院で可決する方針を示している。新型コロナウイルスのワクチン普及などにつながる新たなニュースがあれば、好感されるだろう。
■金利上昇、想定以上に速く
市場が注視するのは米長期金利の動向だ。長期金利の指標である米10年物国債利回りは19日に一時1.36%と1年ぶりの水準に上昇した。2月に入ってすでに0.3%上昇している。追加経済対策に加えて、バイデン政権下で環境インフラ投資が実現する可能性が高いとの見方などから金利先高観が強まっている。
経済活動の正常化に伴ってある程度の金利上昇は予想されていたが、想定以上に速いペースでの金利上昇は嫌気される。特にPERの高いハイテク株は割高感が意識されやすく、配当狙いで買われることが多い公益事業や生活必需品関連も投資妙味が低下する。
23~24日にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米上下両院での議会証言に臨む。証言を受けて長期金利が動けば、株価にも影響を及ぼす。議長は労働市場の回復度合いが均一でないことなどから、金融緩和を継続して米景気を支える方針を改めて示すとみられる。足元で高まる物価上昇基調に対する議長の見解も注目だ。
経済指標では26日に1月の米個人所得・個人消費支出(PCE)の発表がある。米政府が家計への現金給付を実施したため、所得・消費ともに拡大が予想される。先週発表の1月の米小売売上高は前月比5.3%増と大幅に伸びていた。FRBが物価指標として重視するPCEデフレーターへの関心も高い。
企業決算では24日に画像処理半導体(GPU)のエヌビディア、25日には顧客情報管理(CRM)のセールスフォース・ドットコムなどが業績を発表する。IT(情報技術)や半導体の成長持続が確認されれば、米国株のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の良好さが確認できる。半面、業績見通し次第では利益確定売りのきっかけとなる可能性もある。