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REITとは何か 株や不動産投資との違いを分かりやすく解説、利回りの推移やインフレ時代の影響も紹介

(初回公開日2021年4月9日18:00)

【QUICK Money World 辰巳 華世】不動産投資に興味はあるけれど、まとまった資金が必要で中々踏み出せない投資家は多いと思います。そんな不動産投資に興味がある投資家に朗報です。今回は、個人投資家の不動産投資の幅を広げた金融商品のREITを紹介します。小口の資金でも不動産投資が可能なREITの基礎知識、現物不動産投資との違い、メリット・デメリット、実際の投資方法などを解説します。

REITとは

REITはReal Estate Investment Trustの略で、カタカナでは「リート」と呼ばれる不動産投資信託のことです。REITは、不動産投資法人が投資家からお金を集め、マンションやオフィスビル、商業施設やホテルや物流倉庫など多様な不動産に投資をし、投資先物件からでる賃貸収入や売買による利益を投資家に分配する金融商品です。実際の投資物件の購入や売却、物件の保守管理などは不動産投資法人から委託された会社が行います。REITは証券取引所に上場しており、株式と同じように証券コードが割り当られています。投資家はREITを個別銘柄の株式と同じように売買することができます。

※出所:投資信託協会

J-REITとは

もともと米国の不動産投資信託のことをREITと呼んでいました。これにならって、日本版REITをJAPANの頭文字「J」を付けJ-REITと呼ぶようになりました。日本では2001年9月に初めてJ-REITが上場しました。

株式相場全体を把握するために日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの株価指数がある様に、REITにも株価指数があります。東証REIT指数は、東京証券取引所に上場するREIT全銘柄を対象とした「時価総額加重型」の株価指数です。2003年3月31日の時価総額を1000とした場合の、現在の時価総額がどの程度かを表しています。東証REIT指数を見ればREIT市場全体の様子を把握できます。

※東証REIT指数の長期チャート。リーマンショック前の2007年にピークを迎えた。

REITと不動産投資の違い

REITの登場は、個人投資家の不動産投資の幅を広げたと言えます。直接、現物不動産を所有する不動産投資は、まとまった資金を用意する必要があり個人では難しい面もありますが、REITを活用することで比較的無理のない額で間接的ですが不動産投資ができるようになりました。直接不動産を取得した場合、不動産売買の手続きなどの事務作業、不動産取得税や固定資産税などの税金関係、取得後の空室対策や物件の設備メンテナンスの運用管理などが必要で手間がかかります。しかし、REITの場合は、不動産投資法人が仲介となり、代わりに物件の管理運用をしてくれるので、こういった手間なく、投資家は配当所得を得ることができます。

※出所:投資信託協会

REITのメリット・デメリット

REITのメリットは、主に5つあります。

  • 少ない資金で投資が可能
  • 分散投資が可能
  • 物件の維持・管理の手間が不要
  • 比較的高い利回り
  • 売却しやすい

5つのメリットについて細かく見ていきましょう。REITは、通常の不動産投資に比べ少ない資金で不動産投資をすることができます。物件を直接購入するとなると数千万円単位の資金が必要なところ、REITであれば20万円程度から買うことができます。直接不動産を取得すると資金の問題があり多くの不動産に投資することは大変ですが、REITであれば複数の不動産への投資ができ分散投資ができます。また、商業施設や物流倉庫など個人では投資するのが難しい大型不動産にも投資ができる点も魅力です。また、専門家が物件の選定から維持・管理までするので、そういった手間が不要です。

比較的高い利回りが見込めるのも魅力です。不動産投資法人は利益の9割を分配することで法人税が免除されるので、配当金の割合が高いのもメリットです。上場している個別株式と同じ様に売買ができるので、取引がしやすく、不動産を売買するよりも換金性が高いです。不動産の知識がなくても不動産の専門家の信託会社に運用してもらえることも安心です。

※REIT市場全体の利回り推移。3~6%の間で推移している。

REITにはデメリットは、大きく分けて4つあります。

  • 地震や火災などの被災
  • 上場廃止のリスク
  • 不動産市況、経済情勢、金利変動のリスク
  • レバレッジを効かせた投資がしにくい

デメリットについて詳しく見てみましょう。REITは配当金の割合が高めなのが魅力ですが、必ずしも保証されたものではありません。不動産の賃貸市場や売買市場、金利状況、経済情勢などの影響を受けて物件の賃料収入が減ったり、物件価格が下がったりすることで、REITの価格や分配金が変動することがあります。投資先の不動産が地震や火災などで被災した場合も価値が下がる可能性があります。上場基準に抵触し上場廃止や投資法人が倒産するリスクもあります。上場しているので流動性が高い反面、日々値動きするため相場が短期間で暴落するリスクもあり、常に相場状況を把握しておく必要があります

また、不動産投資の魅力の一つであるレバレッジを効かせた投資がしにくのもデメリットです。実際の不動産投資の場合は、借り入れをおこして物件を購入するなど実際の手元資金以上の物件に投資することが多いです。一方、REITへの投資の場合、REITへの投資のためにローンを組むことは一般的には難しく、手元資金の範囲内での投資になります。

REITの購入方法

REITは1銘柄ごとに銘柄コードが割当られているため、通常の個別株式の取引同様、証券会社で口座を開設することで取引することができます

J-REITの銘柄の種類は主に2種類に分けられます。

単一用途特化型REIT」は、ホテルや商業施設など特定の用途の不動産への投資です。単一用途だけの不動産なので、そこから受ける影響が大きく、そのため値動きが大きくなる傾向があります。例えば、ホテルだけに投資しているREITであれば、新型コロナウィルスによる観光客の減少の影響を受けやすく、REITの価格変動も大きくなります。

複数用途型REIT」は、マンションと商業施設など2つの不動産や複数を組み合わせた投資になります。景気の影響を受けやすいホテルと安定的な賃料を見込みやすい居住用マンションを組み合わせ分散投資をすることで、REITの値動きの幅が小さくなる特徴があります。

全国の不動産を対象としているREITが多いですが、特定の地域に特化しているREITなどもあります。

さらに、REITの指数に連動する上場投資信託(ETF)もあります。東証REIT指数連動型のETFなどがあります。REITよりもさらに一口の売買単位が少額で数万円から投資ができるというメリットもあります。

REITには、いろいろと種類があるのでそれぞれの特徴を把握し、分配金を重視するのか、それとも売却益を狙うのかなど自分の投資スタイルにあったREITへ投資する必要があります。

※REITの分類別指数の推移。コロナ感染拡大前に比べると、「オフィス」の戻りが鈍いと言えます。

コロナ禍やインフレ時代におけるREITへの影響は?

新型コロナウイルスの影響を受け、REIT相場も下落しました。

観光客の減少によりホテルや商業施設、オフィス関連のREITは特に価格が下落しました。ホテルや飲食店などが入る商業施設は厳しい状況であった一方、物流倉庫などはネットショッピングの普及もあり拡大が期待されました。

最近は、ワクチン接種などにより感染状況が落ち着いてきたこともあり、経済正常化に向けた動きが加速しています。ウィズコロナ、アフターコロナに向けて経済活動が進む中、不動産市場も落ち着きを取り戻し始めています。

コロナ禍前よりはテレワークが増えている傾向があり、今後はオフィス縮小の流れが懸念されます。ただ、従業員に元に戻ることを望むケースや出社とテレワークを組み合わせたハイブリットでの働き方に移行するケースも多くあり、完全にオフィス需要がないわけではありません。オフィス需要を考えると、優良物件には人気が集まる傾向は続きそうです。オフィスの例から見てもコロナ禍を経て、不動産市場では、人気がある物件とそうでない物件の二極化が目立つ様になると言われています。

足元では物価上昇が始まっており、インフレ時代が来ると言われています。基本的にインフレでは金利が上昇するので、REITの利払い金利も上昇し分配金の減少やREIT価格の下落する可能性があります。ただ、インフレが続けば、不動産価格の上昇や家賃収入の上昇が見込めます。一般的に物件の賃貸契約の更新が2年毎ということもあり、家賃の上昇は金利上昇より遅れることが多いです。

REIT市場は、インフレによる金利上昇によるマイナスの影響も受けますが、インフレが継続すれば家賃収入や物件価格なども上昇し、中長期的に見ればプラスの影響があると考えられます。今後のREIT相場に注目したいところです。

まとめ

REITは間接的に不動産投資ができる便利な金融商品です。個別株式の様に売買できるので、扱いやすいのも特徴です。少額から不動産投資を始めたい人はREITを検討してみてください。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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