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資産運用はしない方がいい?失敗リスクを減らす方法や「運用しないリスク」も解説(資産形成イロハのイ)

(初回公開日2021年11月19日16:00)

【QUICK Money World 辰巳 華世】資産運用は資産を効率的に増やすために始めますが、運用にはリスクがあり、時に損失が出る場合があります。今回は資産運用の初心者の人に向け、資産運用や投資をしない方がいいと言われている理由、運用のリスクやそのリスクを軽減する方法、運用を積極的にした人としない人でどのような差が出るのかについて説明します。

資産運用や投資をしない方がいいと言われている理由とは

老後問題など将来に対する不安の高まりもあり、資産運用を始める人が増えていますフィデリティ退職・投資教育研究所が2019年5月に実施した「サラリーマン1万人アンケート」では、総回答1万1812人のうち投資家比率が約37%と前回調査2016年より5%上昇しています。足元では新型コロナウイルスの影響で、自宅で過ごす時間が増えたことやネット証券の利用浸透などを背景に投資を始める人が増えています。東京証券取引所などが発表した2020年度の株式分布状況調査の結果によると個人株主数は前年度比308万人(5.4%)増の5981万人に増えました。

投資家の裾野が広がる一方で、投資に対してネガティブなイメージを持つ人が多いのも事実です。独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)のFan(富山市)が公表した「投資に関するイメージ調査」の結果によると、「投資にどのような印象を持っていますか(重複回答可)」の質問に対し、「ギャンブルのような怖さ」(45%)や「専門性の高い難しさ」(22%)といったネガティブな回答が多かったです。「怖い」や「難しい」といったイメージが強いことから、資産運用をしない方がいいと考えるのは「損をするから」といった理由が考えられます。

資産運用に対して「ギャンブルのような怖さ」を感じるとの回答がありますが、資産運用とギャンブルはまったく異なるものです。ギャンブルとは、結果が運や偶然に左右されるものに対してお金を賭ける行為です。一方で、「資産運用」とは自分の持っているお金を貯金や投資に配分して運用することで効率的に増やしていくことをいいます。

お金を増やしたいと考えて資産運用を始めても、元の金額から減ってしまえば損をしてしまうことになります。しかし、資産運用には色々な種類がありリスクをコントロールすることができます。収益もリスクも低い(低リスク低リターン)ものからリスクは高いけれども高い収益が期待できる(高リスク高リターン)投資まで様々あります。

そのため「資産運用」をひとまとめにして「しない方がいい」と判断してしまうのは勿体ない面もあり、実際に始めるかどうかは、手元の資産の状況や、今後の生活で必要となるお金を踏まえて慎重に考えて決めるべきです。

資産運用が抱えるリスク

資産運用には大なり小なりリスクがあります。投資の世界でのリスクとは、「得られる利益の不確実性の度合い、振れ幅の大きさ」を示しています。「リスク」が大きいということは、振れ幅が大きい、つまり、利益が大きくでる可能性もある一方で、損失が出た場合の影響も大きいという意味です。

運用する金融商品の多くは元本保証がありません。株式投資や外貨預金、不動産投資、仮想通貨(暗号資産)、外国為替証拠金(FX)取引などには元本保証がありませんし、FXのようにレバレッジをかけた商品は元本以上の損失が出る可能性があります。一方、預金、定期預金には元本保証がありますし、債券は発行した企業が倒産しなければ満期に元本が返済されます。

元本保証がない金融商品は、日々価格が変動します。例えば株式投資では企業の業績、景気によって株価が下落するリスクがあります。海外株への投資の場合は、円高や円安など外国為替レートによっても価格が変動する為替変動のリスクがあります。債券投資の場合は、債券を発行する国や企業が経営難に陥った場合は利息が払えなくなるなど信用リスクがあります。

 

資産運用を積極的にした人としない人でどのような差が出るのか

資産運用を積極的にした人としなかった人ではどのような差が出るのか考えてみましょう。

資産を銀行にのみ預けている場合

銀行の預金は、元本保証はありますが、金利は低いです。銀行金利が0.001%とした場合、1000万円預けると利息は年100円です。ある程度まとまった資金になったら、もう少し利率が良い定期預金などの選択肢もありますが、5年定期預金で金利は0.5%程度です。資産が大きく増えることもなければ、残高が大きく減ることもないでしょう。預金が0とならないように、やりくりしていくことが大切になります。

資産運用を積極的に行った場合

株式投資や投資信託を活用し資産を運用した場合、株価が上昇したタイミングで売却することで資産を増やすことができます。増やした資産をまた投資することもできます。税制面でメリットがあるつみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)などを活用し、投資で得られる利益を非課税にし利益をさらに増やすことができます。また、 個人型確定拠出年金(iDeCo)で節税しながら掛金を運用し、老後の備えをつくっていった場合、60歳を迎えた時にそれまでの運用成果を受け取ることができます。選んだ金融資産の価格変動などによる損失のリスクはありますが、毎月一定の額を積み立て、長期間運用することである程度の価格変動リスクが抑えられます

特に、NISAは2023年度の税制改正の大綱等において、大きく制度が改正されこれまで以上に使い勝手が良くなっています。具体的には、2024年以降、最大で年間360万円まで(非課税保有限度額1800万円)、無期限で非課税で運用することができるようになりました。投資家にとって魅力が高まっているNISA制度を積極的に活用して運用すると良いでしょう。

日本株の代表的な指数である日経平均株価に連動する投資信託を20年間、合計100万円積み立てると、20年後には資産額が2.4倍になりました。また、米国のテクノロジー企業に同じ条件で投資すると、20年で資産額は5.8倍に。20年という長期投資をすれば、100万円を500万円まで増やすことは可能です。

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資産運用を「しない」リスク

私たちを取り巻く環境は大きく変化しています。例えば、雇用、給与、退職金など労働環境を見ても、不安要素が多いです。終身雇用や年功序列型の賃金の崩壊による給与の伸び悩み、退職金支給額の減少、年金の所得代替率(現役世代の手取り収入と比べた年金額の割合)の低下などが考えられ、自ら資産を増やし、老後資金を準備していくことが必要になります。

 

また、これまで日本は長い間、物やサービスの値段が上がらないデフレの状態が続いていましたが、新型コロナウイルス収束後、この先は、物価が上昇するインフレの時代がやってくるとの声があります。足元ですでに物価の上昇を感じている人も多いと思います。インフレは物の価値が上がり、お金の価値が下がることです。同じ物を買うにしても以前より多くのお金が必要になり、対策が必要です。

インフレによる物価上昇(お金の価値下落)に対応するには、インフレを上回るペースで給料を増やすか、資産運用でお金を増やすか、といった対応が必要となります。資産運用をしないで、現金のままお金を手元に置いておくと、インフレが発生したときに、資産が実質的に目減りしていくリスクがあります。今後の経済環境を考えると、資産運用をしないことのリスクが高まっています。

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資産運用・投資のリスクを減らす方法

資産運用でリスクを減らす方法を見てみましょう。

リスクとリターンは比例している関係です。なので、高い利益を追求すればそれだけリスクは高くなります。資産運用を考える時、すべての資産で高いリターンを狙いにいくのではなく、分散して投資をすることが大切です。分散投資はリスク・リターンの関係での分散だけでなく、投資する時期をずらすなど時期も分散させることで、時期要因による株価などの変動リスクを下げることができます。資産運用をする場合、あらゆる側面から分散投資するという考え方が大切で、分散投資はリスクの低減につながります。

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また、リスクを下げるには、少額投資から始めるのも一つの手です。リスクが高い金融商品に対して、知識や経験などがあまりない場合は、少額から始めて見るのもよいでしょう。

株式の個別銘柄などを自分で選ぶには、知識や経験が必要です。自分でどれにするか決められない場合は、投資信託や不動産投資信託(REIT)などを活用するのが良いです。複数の銘柄を束ねて運用する金融商品なので、それだけで分散投資効果もあります。

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資産運用にまわす額を決めておくことも大切です。毎月の収入からいくら生活費にかかり、いくら資産運用するかを決めます。生活に必要な資金まで資産運用にまわさないように気をつけましょう。

長期投資はリスクの低減に繋がります。株価は変動するものです。その時の経済状況や新型コロナ・ショックなど突発的なショックで株価が下降したり上昇したりします。株式投資の場合、少しでも損失を抱えたら株を売却するという考え方もありますが、長期投資の視点を持ち、株価の変動傾向や世の中の情勢、企業の経営状況を踏まえて適切なタイミングで売買するのも大切です。

まとめ

資産運用は、将来に向けて効率よく資産を増やすための方法の1つです。資産運用を行う際は、それぞれの投資にどのようなリスクがあるかを踏まえた上で、投資方法を選びましょう。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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