外国為替市場の関係者は、2022 年はドル高になるとみていた。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した12月の月次調査<外為>で、22年末にかけて円・ドル・ユーロの強弱関係を聞いたところ、63%が「ドル>ユーロ>円」になると予想した。来年は米連邦準備理事会(FRB)の金融政策が焦点となるとの見方が多い。持続的なインフレ懸念などから、量的緩和の縮小(テーパリング)の終了時期を早める方針も示唆されており、金融政策の正常化が加速する米ドルが最も強くなるという。
22年に外国為替市場で最も注目されるテーマを聞いたところ、「米金融政策」との回答が多かった。FRBは、11月から米国債などの毎月の資産購入額1200億ドルを月150億ドルずつ減らしている。当初は22年6月に購入額がゼロとなる予定だったが、原油高などを背景に持続的なインフレリスクが懸念され、パウエル議長はテーパリングの終了時期を前倒す意向を示している。11月の雇用統計で失業率は4.2%に低下するなど労働市場も改善しつつあり、金融政策の正常化を急ぐとの観測が広がっている。
テーパリングが完了する時期を予想してもらったところ、「22年3月まで」と回答したのが45%だった。続いて「4月」と予想したのは21%、「6月」が20%、「5月」が5%で、全体の7割強が当初の6月から前倒しになるとみていた。
テーパリングの前倒しにともない、利上げは来年2回するとの見方が55%で最も多かった。「3回」と回答したのは12%、「1回」が28%だった。大和証券の今泉光雄チーフ為替ストラテジストはテーパリングが終わり次第FRBは利上げに動くとみるが、「11月の中間選挙直前は避けるのでは」などの考えから、利上げは2回と予想する。
22年の円・ドル・ユーロの強弱についても聞いた。来年末にかけて63%が「ドル>ユーロ>円」になると予想している。マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司フェローは金融政策の進展度合いから、「ドル>ユーロ>円」になると予想する。ただ、「米金利上昇でリスク選好が崩れれば、ユーロと円が逆転するリスクシナリオも考えられる」という。「ドル>円>ユーロ」と予想しているのは19%だ。
豪ドル、英ポンド、カナダドル、スイスフラン、人民元を加えた主要8通貨で最も上昇する通貨を聞いても「ドル」が強いとの回答が7割強だった。
最も弱くなる通貨は5割が「円」と回答した。豪ドルが最も弱くなるとの回答もあった。大和証券の今泉氏は「米金融政策が進展すると、豪ドルなど資源価格高騰で買われた通貨が相対的に弱くなる」と解説する。
調査は12月6~8日に実施した。金融機関や事業会社の外為市場関係者80人が回答した。